米ドル安/円高が進んだ7月の為替相場ですが、91円台で折り返し、先週(7月13~17日)は一転して、米ドル高/円安の展開となりました。これは「小動きの7月」という米ドル/円の特性を考えると、当然の結果です(「ついに本格化した「円高第3幕」だが、「小動きの夏」がドル/円の特徴で…」参照)。

 そして、そのような米ドル/円の特性を考えると、7月中に米ドル高/円安がさらに進む可能性は低いと言えそうです。

 前回のレポートで紹介したように、米ドル/円の7月の値幅平均は、年間12ヵ月の中で最小となっています。2000年以降、7月は「1年間でもっとも小動き」なのです(「ついに本格化した「円高第3幕」だが、「小動きの夏」がドル/円の特徴で…」参照)。

 ちなみに、2000~2008年の9年間において、7月の米ドル/円は、6円以上の値幅となったことは1度もありません。そして、5円以上の値幅となったことも、わずか2回にとどまっています。

米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 今年の7月の場合、21日現在ですでに97円台のドル高値を記録しています。このため、値幅が6円以上にはならないという「9年間の常識」からすると、7月中は91円を割らないということになりますし、91円台が精一杯のドル安値ということになります。

 従って、91円台からドル高/円安に反転したのは、7月の特性どおりの結果と言えるでしょう。

本来「米ドル高の7月」で
91円台への急落は「ダマシ」?

 ところで、7月の米ドル/円の特性として、米ドル高になりやすいということも挙げられます。

 1995年以降、2008年まで14年間の米ドル騰落状況(対円)を調べたところ、11勝3敗となっていて、12ヵ月の中で最多の米ドル高記録となっているのです。

米ドルの対円騰落状況(クリックで拡大)

 この確率どおりに、今年の7月も米ドル高/円安となったならば、もっと米ドル高が進むということになります。

 ここで言う「米ドル高」とは、いわゆる月足の意味ですから、その月の寄り付きよりも引け値で「米ドル高」が進むという意味になります。7月1日の寄り付きは96.40円レベルですから、7割超の確率で月末終値が96.40円レベルよりも「米ドル高」となるわけです。

 このように考えると、本来「米ドル高の7月」となるべきタイミングでの、あの91円台までの米ドル急落は「ダマシ」であったと言えるでしょう。

 結局、米ドルは月末にかけて96円台半ばよりも上へと上昇し、「米ドル高の7月」の本領を発揮してくる可能性は十分にありそうです。

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