東京証券取引所で上場廃止した企業数が2024年に過去最多を記録した。だが、それは序章にすぎず、25年に「上場廃止ラッシュ」は加速する。では実際に上場廃止の危機にひんする企業はどこか。特集『上場廃止ラッシュ2025』(全11回)の#1で社名入り「上場廃止目前ランキング」を公開し、そうした企業の末路を占う。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)
2024年に過去最多の94社が上場廃止
25年以降も市場を去る企業が続出へ
2024年の1年間、東京証券取引所で上場廃止となった企業は94社に上る。東証を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)が13年に発足して以来最多だ。大正製薬ホールディングスやアルプス物流など、そうそうたる企業がMBO(経営陣による買収)や子会社化により市場を去った(下図参照)。
特定投資家向けのTOKYO PRO Marketを除く24年末の上場企業数は3842社だ。前年より1社減り、JPX発足後初めて減少に転じた。上場廃止が増えれば当然、上場企業数は減少する。それを企図しているのはJPX自身にほかならない。24年8月、東証が公表した「今後の方針」にこんな言及がある。
「上場維持コストが増加し、非公開化という経営判断が増加することも想定されるが、そうした判断も尊重(東証として上場企業数に重点は置かない)」
東証は22年4月にプライム、スタンダード、グロースの3市場に再編し、翌年以降も上場企業にガバナンス構築やPBR(株価純資産倍率)改善を促すなど、上場維持コストが増える施策を実行してきた。
「われわれが重視しているのは、上場企業の質です。質が高くならなければ、国内外の投資家から資金は集まらない」。改革の狙いについて、JPXの山道裕己CEO(最高経営責任者)はダイヤモンド編集部の取材にそう述べている(『日本取引所グループCEOが断言「改革はまだ始まったばかりだ」!上場企業の“量”より“質”重視へ』参照)
上場企業の「質」を高めるために改革のハードルを上げれば、上場維持コストは増加する。それに対応できない企業が非公開化を選び、結果的に上場企業数が減ったとしても取引所としては構わない、ということだ。
そして25年。“上場廃止ラッシュ”がさらに加速するのは間違いない。東証が仕掛けた改革のトリガーが次々に発動し、強制的に市場から退場を迫られる企業が続出するからだ。具体的にその企業名を次ページで明らかにする。