メールの向こうに人がいる

 メールは書き言葉のコミュニケーションだからこそ、相手の立場に立って簡潔な表現を使うことが求められる。とくにビジネスシーンではメールのマナーに注意が必要だ。

 スパムメールやチェーンメールの氾濫に象徴されるように、メール環境がいわば無法地帯に近い状態となっている現在、社会人としてのメール作法の重要性はますます高まっている。

 メールではリアルタイムで相手の反応を見ながらコミュニケーションをとることができないために、何気なしに書いた一言や操作ミスのせいで、それまでのビジネス上の信頼関係が崩れてしまう危険性がある。社員の電話対応一つでその会社のイメージが傷つけられることがあるように、電子メールの場合も同様のリスクがあることを忘れてはならない。

 ビジネスメールの基本作法として以下のようなことが挙げられる。

●メールの宛先は正確に
●to、cc、bccの使い分けに気をつける
●具体的な内容がわかる件名に
●冒頭で誰宛かを明記し、送信者の所属・氏名をまず名乗る
●本文は全角で1行に35文字が目安
●本文には改行やスペースを入れて読みやすく
●署名をつける
●文体は書き言葉で
●htmlメールは送らない
●半角カタカナや機種依存文字、絵文字などを使わない
●返事はすみやかに
●コピーされたり転送されて困るものは送信しない
●添付ファイルを送信する場合は本文にその旨を記載する
●メールの容量に注意
●知らない相手からのメールの添付ファイルは開かない
●チェーンメールは無視する

メールはすべて覗き見される可能性あり

 当然ながら、部外秘・社外秘の重要書類、顧客データや取り引きの契約書類、クレジットカード番号や各種パスワードなど、機密に属する情報はメールで送るべきではない。メールが配送されていく全てのサーバで覗き見される可能性があることを念頭におき、暗号化装置を使った場合を除いて、ネット上の電子メールの秘密を守ることはできないことは肝に銘じるべきである。

 いうまでもなくメールも書き言葉によるコミュニケーションであり、従来の手紙と同様、表現次第では誤読、曲解されることも起こり得る。さらに相手にきちんと届かず、読まれない可能性もある。

 手軽だからといって何でもメールに頼ることなく、内容によっては電話や面談などの手段を検討すべきであろう。メールは、コミュニケーションツールの選択肢の一つに過ぎないことを忘れないようにしたい。

社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会

(第4回は5月21日公開予定)

出典:『ネット時代のビジネスマナー 情報モラルの基礎知識』