物理距離400m→メンタル距離600km。のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)のすれ違いがつらい【あんぱん第30回レビュー】『あんぱん』第30回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第30回(2025年5月9日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

慰問袋活動が新聞に載り
注目されるのぶ(今田美桜)

 のぶ(今田美桜)、慰問袋活動によって、愛国のかがみとして新聞に載る。

 戦争に引き裂かれる蘭子(河合優実)と豪(細田佳央太)を見て、のぶは戦争に行く人たちのことに思いを馳せる。

 命がけで国のために働く戦地の兵隊さんに何かできないだろうかと、うさ子(志田彩良)に相談する。

 そこで慰問袋を作って戦地に送ることになった。慰問袋に、お守りや手紙、日用品などを入れて送るのだ。

 うさ子は祖母から、それでロシアとの戦争に勝ったと聞いていた。そんなばかな……。テレビから客観的に視聴している者としては、慰問袋で戦争に勝てるわけがないと思う。でも当時の人は懸命にそう信じていたのだろう。実際、思いを届けることはできるだろうし。

 のぶはうさ子と共に生徒たちに呼びかける。そして、慰問袋を作るための献金を集めることになった。

 みんな大賛成。でも、先生に相談しないで、勝手に掲示板に張り紙をしたり、チラシを配ったり。この学校は厳しそうなのに、生徒の自主的活動は認めるのだろうか。黒井先生(瀧内公美)は黙って見つめている。

「これが黒井先生のおっしゃった『忠君愛国』」とうさ子も気持ちを高ぶらせる。