
コミュニケーション能力を高めたいと思っているビジネスパーソンは多いだろう。だが、コミュニケーション能力とは単に淀みなく喋れるというだけでなく、どんな声でなにを話すかなど、多岐にわたる。部下に信頼され、第一印象も良くなる話し方を紹介しよう。※本稿は、平岡祥孝『組織と仲間をこわす人、乱す人、活かす人 仕事は必ず誰かが見ている』(PHP新書)の一部を抜粋・編集したものです。
コミュニケーションの複雑な図式
会話力だけではない奥行きと幅
コミュニケーション力を養うことは言うまでもなく、社会常識・マナーを身に付けることとともに、社会生活を営む上で重要視されています。
コミュニケーションはとかく言葉のキャッチボールに例えられます。大ざっぱに言えば、相手の言葉を受け取り、相手に言葉を返す、ということでしょうか。けれども、コミュニケーションはそのような単純な図式で語られるものではありません。むしろ単なるスキルを超越した「複雑系」といえるのではないでしょうか。
コミュニケーションに関する書籍は枚挙にいとまなし、という状況を目の当たりにすれば、コミュニケーションには奥行きと幅があるということを再認識します。
あくまでも私見ながら、コミュニケーション力は、「話し手に謙虚に耳を傾けて素直に聞く力」と「自らの意見や見解あるいは事実を誠実かつ確実に伝える力」という2つの要素から成り立っています。大切なことは、まずは相手の話を真摯(しんし)に聞くこと。余談ながら、ある政治指導者も「聞く力」を掲げていましたね。しかし、「その実態はいかに?」「自分に都合よく聞いているのでは?」と、陰の声が聞こえてきます。