資料づくりは「一人ブレスト」で
スライドのイメージを描くことから
構成がわかったところで、次はいよいよプレゼン資料の作成に入る。いきなりPowerpointやKeynoteなどでつくり始めるのはNG。自分の考えやストーリーがまとまっていないまま進めると、手直しが多くなり、結局、時間のムダづかいになるからだ。前田さんは、紙とペンを用意し、「一人ブレスト」でスライドのイメージを描くことから始める。
「【図2】のようなフォーマットに書き込んでいくと便利です。課題、原因、解決策、効果のストーリーに沿って、結論と根拠(データ)、ビジュアル(スライドに掲載する写真など)を書き出していきます。このとき、課題、原因、解決策、効果に書いた内容が『なぜ?』『だから、どうする?』『すると、どうなる?』という因果関係でつながっているかどうか、つまり、ちゃんとストーリー展開ができているかをよく確認してください。資料づくりは、このストーリーを考えるプロセスが一番重要です」
ついついあれも入れたい、これも入れたいとなってしまいそうだが、絞り込むコツは?
「2つありますね。1つは、時間をあけること。よく『一晩寝かせる』といいますが、次の日、冷静な目で見ると客観視できます。時間がないときは、いったん別の仕事に移ってから改めて見てみるといいでしょう。もう1つは、上司や同僚、関係部署のスタッフに見てもらい、コメントをもらうやり方です。関係部署とのブレストは、事前にコンセンサスを得られるというメリットもあります」
前田さんによると、決裁者から承認を得るプレゼン資料をつくるためには、"自分の視座を高める"ことも必要。一般社員であっても、社長や役員、上司などの決裁者目線で考えられなければ、承認を得られる可能性は低くなる。そうはいっても難しそうだが。
「そんなことはありません。私はこんな提案をしています。会議に出たとき、2つ上の役職を意識してください。もし自分がその立場だったらどのように話すかをイメージする。それと実際のその人の発言とを比べれば、自分の視座がどのあたりにあるか、どんな点が至らないかがわかってきます。こうした訓練を重ねていくと、自ずと視座が上がっていきます」
色を使い分け、いい情報・悪い情報が
一目でわかるように
次に、スライドづくりの具体的な方法を、『社内プレゼンの資料作成術』からいくつか紹介しよう。
まずは、カラーの使い方。「ポジティブメッセージは青」「ネガティブメッセージは赤」というのが法則だ。例えば、売上増、経費削減など好ましい情報は「青」、売上減、経費増など好ましくない情報は「赤」にする。
「こうするとスライドを見た瞬間に、いい情報なのか悪い情報なのかを、決裁者に知らせることができます。要するに“話が早い”わけです」
色数は絞って、「ここがポイント!」という部分にだけ使うのが基本。前田さんは、だいたい3色を上限にしているそうだ。【図3】