共学校への流れが止まらない
公立は小石川、私立は渋幕に

海外大学進学が普通に選択肢に入ってきた (渋谷教育学園幕張)

 中学受験界でもっとも話題の出来事は、最難関校である女子御三家から共学校への合格者流出が顕著な動きになってきたことだろうか。芦田愛菜さんは女子学院と慶應中等部の両方に合格して慶應を選んだ。御三家の1つでは合格発表当日に追加合格を発表する事態が生じている。その数30人。

 毎年合格者が1人も欠けることなく入学式に臨むのが当たり前だった学校に何が起きたのか。流れた先は渋谷教育学園幕張(渋幕)であり、都立の小石川中等教育学校などだった。こちらでは合格者を多めに出して、校長交替劇の珍事も起きている。公立一貫校の人気は年々過熱気味で、進学実績が出るにつれて強まっている。

 共学校への流れは男子の最難関校でも見られるようになってきている。後述するように、中下位の学校の中には共学化する女子校も見られるのだが、別学でも難関校になるとそうそう簡単に共学化はできない。

 それは1世紀以上の歴史を刻み、OGの多い伝統校でも同様の状況で、こうした男子校女子校では、別学の良さをアピールしなければならないからたいへんだ。

 比較的軟化していた麻布の人気が復調してきた背景には、武蔵同様、補習をやるようになるなど、面倒見の良さが受験生に浸透してきたことがあるという。

 千葉県内では伝統の県立千葉などを抑えて、渋幕がトップ校として君臨しているが、その渋幕が受験生や保護者から評価されたのが海外大学進学への積極さだった。

 さて、17年入試では東京の八雲学園が創立から80年にして男子募集に踏み切った。こうした中位校の変身の背景には、都の規制緩和もある。新規に共学化する際、従来ならば運動場の面積などで新たな基準を課されていたものが、従来の環境下でも可能になったことが大きい。行政も学校の存続に配慮した結果なのだろう。

 とはいえ、女子校の共学化に伴う男子募集は簡単なものではない。男子校の共学化は概ね終わっており、別学校は難関・上位に集まっている。男子受験者を獲得するにはある程度の学力水準が必要となり、女子校だった広尾学園(元・順心女子学園)や三田国際学園(元・戸板女子)は難度が上昇するにつれ、男子生徒を増やしていった。すぐに入ってきそうな男子は意外と残っていないのである。

 受験者数はランクでいうと、真ん中よりやや上位の共学校で増加した。

 郊外での募集が厳しくなっており、多摩地区の男子校で共学化を検討している学校もある。背景には小6人口の減少傾向がある。