共学化、新校舎、グローバル化18年入試の首都圏注目校

 宝仙学園理数インターのリベラルアーツ入試に端を発した新しい形態の入試は、今後も増加傾向にある。学力だけでなく、表現などプレゼン型で問うタイプのもので、学習態度のいい素直で元気な子に入ってもらい、活発な学校文化を作りたいという学校側のニーズもあるようだ。

 では最後に、18年入試の注目校を見ていこう。

 神奈川県では、青山学院横浜英和が共学化する。その結果、受験生を奪われていた香蘭などは大学付属で女子校志向の受験生が戻ってくることになりそうだ。
 桐蔭学園の学内再編も進められる。男子部と女子部でそれぞれ中高を持ち、これらとは別に男子校の中等教育学校もある巨大な学校だが、まず18年に高校を、19年に中学を共学化する。クラスの人数を少なくして、アクティブラーニングへの対応がきちんとできるかは1つの分かれ目になりそうだ。

 東京では文化学園大学杉並が共学化する。新校舎効果を見ると、移転新築の芝浦工業大学附属が人気を集め、18年完成予定の明治大学付属中野、富士見も注目されている。19年には青山学院の中高で完成、武蔵は理科棟ができる。埼玉では19年から募集開始となる市立の中等教育学校が、市立大宮西高校を母胎に生まれそうだ。

 千葉県立の中高一貫校である東葛飾の元校長が、二松學舍大附属柏の校長に就任した。

筑波大とお茶の水女子大の協定で附属校生の進路選択が増える(お茶の水附属、筑波大附属)

 もう1つ、18年の注目すべきニュースとして、筑波大とお茶の水女子大が協定を結び、当面、両附属校の内部生が進路先を相互に選択できることになったが挙げられる。お茶女附属は高校から女子校になるため、男子中学生は行き場を探さなければならなかったが、これで受け入れ先も見えてくる。女子中学生にとっても、共学か女子校か選べるようになる。小学校から中学に進む段階でも選べる。お茶女の教員には教科書執筆者が揃っており、ハイレベルの教育への期待もある。これまで公立一貫校に受験生を奪われる傾向にあった国立附属の対抗策という面もある。同窓会「桜蔭会」を持つお茶女が“女筑駒”となるかもしれない。

 なお、新しい大学入試に関しては7月以降に詳細が公表される予定だが、必ずしも行程表通りに進捗していない。

 一方で、その基盤ともなる新しい学習指導要領が公表され、文科省からその解説書も公開された。大きな改変は、当初アクティブラーニングと呼称された「主体的で、対話的な、深い学び」を授業で実現することだろう。

 こうした授業は探求型の授業を先進的にとり入れてきた学校が先行して実践を積んできたが、ユニークなところでは西村圭一.東京学芸大学教授と宝仙学園理数インターとが共同研究として、数学の授業の改革を始めるという。

 やはり特に大学受験が目前にある高校、それも中堅校に教え込み型の授業が主流となっている現状があり、新しい学習指導要領の狙いである上記の“主体的で対話的な深い学び”を実現する上で、大学入試改革(高大接続改革)と同時に、何といっても高校授業の改革が急務となっているのだ。こうした授業そのものの改革に着手する動きも注目されるべきだろう。


好評発売中!
ダイヤモンド・セレクト2017年8月号
「本当に子どもの力を伸ばす学校 
中高一貫校・高校 大学合格力 ランキング」
 

 毎年恒例となった「大学合格力」ランキング。日本の進学校事情が分かる決定版です。今回も「全国ベスト200校」「医学部合格力ベスト100校」を掲載、全国ランキングは対象校は2729校に。

 今号は、「21世紀を生きる子どもの育て方」と題し、斯界の論客である文部科学大臣補佐官・鈴木寛氏のロングインタビューを掲載。人工知能の台頭が教育にどんな影響を与えるかという大きな問題を見据えつつ、この数年間で変化していく学校や入試の姿を伝えています。また、中学受験の最新情報も満載、本誌独自の2018年首都圏必勝併願パターンも掲載しました。全国の受験生および保護者必読の1冊です。