3万3000社ものグローバル企業にタレントマネジメント・ソリューションを提供しているコーナーストーンオンデマンド。その日本法人が主催する「グローバルタレントマネジメントフォーラム2018」が2月14日、グランドハイアット東京で開催された。今回のテーマは「成長する企業の人財活用力―可能性を引き出すタレント基盤―」。主催者講演と基調講演、パネルディスカッションの3部構成で行なわれたフォーラムの要点を紹介する。
[主催者講演1]
企業は学習の場をもっと与え、
個人は貪欲に学ぶことが必要
最初の講演者は、コーナーストーンオンデマンドジャパン代表取締役の飯島淳一氏。「成長する企業の人財活用力」をテーマに、従業員である個人がいかに勝ち残っていくか、その個人を企業はいかに盛り立て、価値を十分に引き出すかという2つの観点から、同社が考える企業の人財活用のあり方を述べた。
飯島氏によると、日本企業の国際競争力が低下しているなか、人材育成が経営の最重要戦略の1つになっているという。
「モノづくりからコトづくりへ、そして今は人づくりへと変わってきています。時価総額で企業力を判断するのと同じように、今後は従業員の価値も企業力を評価するモノサシの1つになるでしょう」
そのうえで、スマートワーク経営(人材活用力、イノベーション力、市場開拓力を重視した経営)が今注目されているように、人材の価値を企業も個人も意識して行動していかないと、これからの企業は成長できないと語った。
続いて、グローバル市場調査から、「自分の仕事に対するスキルを企業から身につけさせてもらったと答えた従業員は日本が42%。グローバル平均66%、米国62%から見ると、企業側の従業員への支援に物足りなさがあること」「自分の仕事に関連するテーマでこの1年間にスキルを向上させたかという問いに対し、ハイと答えた従業員は日本が32%。グローバル平均71%に大きく水を開けられていること」を挙げ、企業と従業員の問題点を指摘した。
「企業側は、従業員がスキルを身につけられる場、学習の場をもっと与えなければいけない。一方、従業員は自ら貪欲に学び、それをスキルに転化し、目標をどんどん達成していく。自分が学習した成果を企業に還元するには、業績を上げることが必要です」
グローバル化に対応した人材データの一元管理が可能なタレントマネジメント・プラットフォームの必要性にも言及。「世界中に散らばる人材を可視化しないと、『次の役員候補を50人、社長候補を10人あげてくれないか』といった経営陣のリクエストに的確に応えられない。日本企業の社長は生え抜きの日本人が多いのですが、それだけで本当にグローバル市場で勝ち続けていけるでしょうか」。
最後に「グローバルなプラットフォームを使って企業は世界中の従業員の学習環境や人材の可視化を整える。一方、従業員は一人ひとりが自主的に必要だと思う知識を獲得していく。その結果、自分の価値を上げて自信を持ち、もっとチャレンジングな仕事をさせてくださいとアピールする従業員が増えてきたら、頼もしく思いませんか。その一人ひとりが企業の資産価値であり、企業力になるのです」と締めくくった。