[パネルディスカッション]
複数のスキルを持たせること、実地体験を積ませることが重要

 パネルディスカッションのテーマは「ビジネスを牽引するための教育のあり方、成長企業の人財育成」。コーナーストーンオンデマンドジャパン代表取締役の飯島淳一氏がモデレーターを務め、パネリストには基調講演を行った小杉教授に加え、アウトソーシング 経営管理本部総務部部長 グループCSV推進の眞鍋謹志氏、CTCテクノロジー マネージメントサービス第2本部エデュケーション企画推進部部長の渡邊真司氏の計3名が登壇し、それぞれの立場から意見を述べた。

 スキルエコノミーの波が日本に来ると、従業員は自律して学習し、自らキャリアプランを描くようになる一方、企業には一人ひとりに合った育成プランを提供する環境づくりが求められる。はじめに、ミレニアル世代の社員のキャリアプランはどのように考えればいいかについて、慶応義塾大学大学院特任教授の小杉氏が次のように述べた。

「モデルとなるような先輩がいないので自分の将来像が見えない、隣の芝は青く見えてしまうので優秀な子ほど辞めてしまう、そんなことを感じています。先ほど自律について話しましたが、企業の環境の中で自律意識を持って仕事をしてもらうことが大事で、辞めるとか独立するとかを考える必要はない。まずは今の環境の中で、自分の価値をどれだけ上げるかが重要だ、ということを教えてあげなければいけません」

企業・個人双方の成長につながるタレントマネジメントとはアウトソーシング 経営管理本部総務部部長の眞鍋謹志氏は「挑戦できる環境を与え、経験を積ませることが育成につながる」と自社の取り組みを披露

 続いて、M&A戦略によって急成長を遂げてきた総合人材サービス、アウトソーシングの眞鍋氏は、人財育成に関してリーダー不足が課題になっていることを挙げた。

「M&Aで急成長してきた過程では、各社で活躍してきた管理職を取り込むことによって、彼らの経験値に頼ることができました。しかし、今後、リーダーの資質やスキルを持つ人材が手薄になってくることが見えてきた。ですから、これからの社会の変化に対応する管理職のあり方や仕事の仕方ということを踏まえたうえで、計画的な育成が必要だと考えています。そこで、若手の中で突出した人を抜擢し、キャリアシンボルをつくる試みも始めています」

企業・個人双方の成長につながるタレントマネジメントとはCTCテクノロジー マネージメントサービス第2本部エデュケーション企画推進部部長の渡邊真司氏は「プレッシャーを受けても自分でやらなければというモチベーションを持てる場を作ることが大事」と語る

 先に小杉氏が指摘した「モデルとなるような先輩がいないので、自分の将来像が見えない」という課題への取り組みが始まっているようだ。

 ITシステムの構築・運用保守サービスをはじめ、ITの教育・研修サービスを手がけるCTCテクノロジーの渡邊氏は、実地教育の重要性について語った。

「今のITシステムは、役割が細分化され、スペシャリスト化しているため、網羅的に学ぶことが非常に難しくなっています。そのため、いろいろな部署に送り出し、実際に現場で体験させて身につけさせるということを重視しています」