米国が取り組むことになる
長い道のり

 検証できない非核化は、北朝鮮にとって時間稼ぎとなる。その上、トランプ大統領は対話が続く間は米韓合同軍事演習を中止する意向を示した。同氏は、将来的な在韓米軍の規模縮小・撤退にまで言及している。この発言を額面通り受け止めると、今後の朝鮮半島情勢を楽観することはできない。

 首脳会談を世界の平和につなげるために、米国政府は北朝鮮との協議を重ねなければならない。米国に求められることは、北朝鮮にCVIDへの速やかな取り組みを求め、その上で制裁緩和などを進めることだ。つまり、核を完全に放棄しなければ、再度、金独裁政権が窮地に陥る恐れがあることを理解させる必要がある。それができなければ、極東地域の不安定感は高まるだろう。

 また、トランプ政権は、北朝鮮の非核化への道のりが長いことを米国社会に理解させなければならない。なぜなら、CVIDへの取り組みは、次期政権、あるいはその次の政権にまで引き継がれる可能性があるからだ。政権が変わっても、非核化への取り組みは継続されなければならない。

 加えて米国は、多国間で北朝鮮の完全非核化をモニターする枠組みを整備しなければならない。特に、中国の関与を引き出すことが重要だ。そのために米国は、世界の政治・経済・安全保障を支えることにコミットするとの姿勢を表明すべきだ。同盟国の協力を取り付けつつ、アジア新興国などの支持を獲得することが求められる。多数決の原理によって、国際社会全体で北朝鮮の完全非核化を求め、その取り組みをモニターし、必要に応じて是正を求める状況を米国は目指すべきである。

 長く、エネルギーのかかる取り組みを進めるためには、米国の民主主義の実力が問われる。もし、トランプ政権が“史上初”の首脳会談の開催という実績のアピールに固執し、目先の支持獲得に執着する場合、北朝鮮問題への懸念は残るだろう。今後の高官協議の内容などを見極めつつ、わが国は「あるべき取り組み」を米国に求めていくべきだ。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)

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