自動車産業の“100年に1度”の変革に対応
自動車産業ではすでに取り組み効果が出ている。
近年、EV化に代表される電子化の波を受け、自動車産業は“100年に1度”とも言われる変革期の渦中にある。自動車における電子部品比率は、1980年代にはわずか3%程度に過ぎなかったが、2005年には約2割に達し、2015年には4割程度を占めるまでになった。
そうした変化は当然、自動車産業におけるプレイヤーの顔ぶれを大きく変え、セットメーカーに特定のサプライヤーが紐付く従来型の系列の枠組みは崩れようとしている。セットメーカーにとっては、自らのピラミッド型のサプライチェーンにこだわっていては変化に対応できず、サプライチェーンのオープン化・グローバル化が急激に進んでいる。
同社はそうした産業構造の変化を捉え、最適なロジスティクス・ソリューションを提供することで、シェアを伸ばすことに成功した。
「産業構造に適応した組織づくりを進めたことで、タイムリーにお客様のサプライチェーン上の課題やニーズを捉えられるようになり、意思決定のスピードも早まった。社内的にもグローバルレベルで情報を共有できるようになり、理想的なワンストップ営業やアカウントマネジメントが確立しつつある」
活かされた半導体産業での「成功体験」
自動車産業での“成功”には、半導体・液晶分野で起こった大掛かりな構造変化に対応した経験が活かされたという。
液晶パネルは当初、薄型テレビへの活用が中心だったが、2000年代後半から本格化してきたスマートフォンの台頭により需要が爆発的に拡大した。半導体産業は中国、台湾、韓国を中心とした東アジア地域がおもな製造拠点となっており、部品調達から製造までの強固なサプライチェーンの中で日夜、大きな物量が動いている。
その中で、同社は東アジアに張り巡らされた緊密な航空輸送ネットワークによりサプライヤーの迅速な供給をサポートし、ロジスティクス・パートナーとしての地位を確立した。半導体市場は現在も急速な成長を続けており、同社の業績を大きく牽引している。
「半導体・液晶産業ではサプライチェーンを構成するプレーヤーとしてのポジションを確立することができた。今後は、半導体製造を設計する米国での事業も強化し、同産業における領域拡大を図っていきたい」という。