この分野ではいま、市場拡大に対応して複数ブランドのサプライチェーンを取りまとめた形でオペレーションするプラットフォーム化が進んでおり、ここでも受託領域を着実に拡大している。
M&Aも戦略上の大きなカギを握る。
同社は13年にFranco Vago社、18年に Traconf社を子会社化したが、いずれもイタリアに本社を置くハイファッション分野を得意とする物流会社。
「各ブランドとも生産体制はグローバル化してきているが、デザインを含めた本拠地はイタリアが多い。すでに実績のある2社をグループ化することで、欧州での事業拡大に加えて、日通グループのグローバルネットワークの活用による相乗効果が期待できる」という。
「ハイファッションの分野は、各ブランドとも自社製品へのこだわりや思いが強く、当然、ロジスティクス・オペレーションにも反映される。ブランドの“思い”を共有できる物流事業者は限られている」。
日本、アジアに拡大するハイファッション市場の取り込みに万全の体制を敷いていく。
非日系企業の開拓で、真のグローバル化へ
サプライチェーンのグローバル化は今後も加速度的に進む。物流会社も日系企業の海外展開に伴走するだけの時代は終わった。
同社の売上高に占める国際関連事業収入は37.6%(2018年3月期)だが、中長期的に5割の水準まで引き上げることを目指している。そのためには、非日系企業の顧客を開拓することが不可欠になる。
「非日系企業のビジネスパートナーになるには、その国のビジネス文化を理解しなければならない。ハードルは高いが、そこに挑戦しなければ真のグローバル化は実現し得ない」
同社では、今年からグローバル営業会議の共通言語を英語に切り替える取り組みを開始。また、海外法人トップに現地人材を積極的に起用し、欧州ではスイス、イタリア、フランス、スペインで現地人社長が誕生した。
「新・世界日通。」の挑戦はこれからも続く。