日本の工作機械、一体何がすごいのか?

〈特別広告企画〉飛躍する工作機械

明日のものづくりの在り方を示す「日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」が 11月1日から東京ビッグサイトで開かれる。29回目となる見本市は、世界のものづくりの大きな転機を前にして 工作機械メーカーの提案力が問われる重要なイベントとして大きな注目を集めている。改めて、日本の工作機械メーカーの凄さと今後の展望についてまとめた。

国のものづくり力は
「工作機械産業があるか」で決まる

日常で使われているスマートフォン、家電、デジタル機器から自動車、飛行機まで、あらゆるものの部品は工作機械から生まれる。精密で複雑な部品を正確に、効率的に作るのが工作機械の大きな役割だ
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 必要に応じて、切断し、面を削り、穴を開けて、切削し、研削で仕上げて、部品を作る機械、それが工作機械だ。その部品から新たな製品や道具が作られる。それ故に工作機械は「機械の母(マザーマシン)」と呼ばれる。パンを焼く機械はパンを焼くことしかできないが、マザーマシンは、自分と同じマシンを作ることもできる。つまり工作機械とは、あらゆるものづくりの土台となる機械なのだ。

 工作機械には、素材が回転して切削する旋盤、穴を開けるボール盤、穴を削る中ぐり盤、面を削るフライス盤がある。さらには、これらの加工を全て行える、マシニングセンタやターニングセンタなど様々な機械がある。「日本標準商品分類」による「金属加工機の種類」の細分類では、約300種類にも及んでいる。

上智大学名誉教授 工学博士
清水伸二

1973年上智大学大学院理工学研究科機械工学専攻修士課程修了後、大隈鐵工所(現オークマ)入社。81年上智大学大学院理工学研究科博士後期課程修了(工学博士)後同大学助手に着任、94年同教授、2014年より同大学名誉教授。現在はMAMTEC代表。千葉大学大学院特任研究員、東京理科大学非常勤講師

 工作機械は、18世紀の産業革命以後に次々と開発されたが、ものづくりへの貢献度合いが深まったのは、1970年前後の倣い装置(型通りの形状、寸法に切削する装置)や運動の方向性を変えるカムを用いた自動加工技術、NC(数値制御)工作機械の開発が契機だった。技術革新により少品種大量生産はもちろん、異品種大量生産、多品種少量生産が可能になり、熟練工の技術をある程度は補完できるようにもなった。

 ものづくりにおいて工作機械は、「正のスパイラルクリエーター」といわれることがその存在の重要性を示している。つまり、高度な工作機械の開発は高度な加工ができるユーザーを育て、高度な工作機械から生み出される高度な産業機械は、要素技術の高度化を促し、研究装置・機器の高度化や研究開発人材の育成にもつながる。それらの集積が再び工作機械の開発に反映されて、さらなる高度化が進む。工作機械産業の育成は、そのまま自国のものづくりの高度化に直結する、ということだ。言葉を換えれば、ハイレベルの工作機械産業を抱える国は、ものづくりの競争優位を確保できていることになる。

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