内田良氏「部活動」をめぐる問題を積極的に発信している内田良氏

 なぜブラック部活はなくならないのか? 実はその裏に、教師から教師への「ハラスメント」が潜んでいた……。教育社会学者・内田良氏が著書『学校ハラスメント』(朝日新書)で明らかにした「教師間いじめ」。その一端を紹介する。

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同僚から攻撃の言葉

 学校の先生方との意見交換の場に参加するなかで、私が出会った、もっとも忌まわしい記憶の一つをご紹介しよう。

 とある教員研修の場において、十名程度からなるグループで、「部活動のあり方」について議論が交わされた。一人の若手教員が、か細い声でこう嘆いた――「私は、○○科の教員です。教員採用試験を勉強して、○○を教えるために教員になりました。でも毎日、そして土日も部活で時間がつぶれます。自分はやったこともない競技を指導しなきゃいけないし、本当にしんどいです」。

 それを受けて、別の教員が手をあげてこう言い返した――「それは一部ですよ! 全部の部活がそんなふうに思われては困ります。僕自身は、たしかに部活がしんどいときもありますが、楽しんでやっています」。さらには、それにつづいて何人かの教員が部活動のすばらしさを語り、援護射撃をつづけた。

 私にとっては、本当に衝撃的な場面であった。