企業の課題に応じて
IDO Labの内容はカスタムメイドされる
では、IDO Labでは具体的にどのようなセッションを行っていくのかを簡単に説明しよう。
例えば、「DXは必須の経営課題だ」と捉えてはいるが、具体的にアナリティクスを活用する段階に踏み込んでいない企業があったとしよう。そうしたケースでは、「10年後、20年後にどんな企業になっていたいかというビジョンをCxOの方々が描けるようなセッションを行い、そこからバックキャストして、アナリティクスをどう活用すればそのビジョンに近づけるかというアプローチで進めていきます」(神津氏)。
パートナー
桐井健之氏
そうしたビジョンを描く際のセッションでよく使われるのが、「IDOプレイブック」と呼ばれるものだ。このIDOプレイブックは、アナリティクスを活用することで新たなビジネスモデル構築に成功した海外の先進事例や最新テクノロジーなどが集約された事例集のようなものである。「海外の先進事例と新しいテクノロジーを組み合わせ、それを自社に当てはめたときにどんなビジネスモデルを構築できるのかという思考ゲームを通じて、ビジョンを具体化していくのもIDO Labの一つの形です」(桐井氏)。
あるいは、IoTデータの収集・蓄積を始めるなどすでにアナリティクス活用に向けて一歩を踏み出してはいるが、そこから前に進まない企業があったとする。そのような場合は、まずアセスメントから入る。
「IDO組織は発足しているが予算や人員が十分に配分されていない、アナリティクスのスキルを持った人材が不足している、または、デジタルツールの選定やデータの取り方に問題があるなど、アナリティクスが価値創出につながらない理由は、企業によってさまざまです。その状況をアセスメントによって把握し、課題を整理して、その企業にとってのあるべきロードマップを具体的に描くのです」(大平氏)。
パートナー
大平匡洋氏
その他、企業が持つデータをデロイト トーマツが実際に分析し、どのようなアナリティクスの成果が得られるのかを具体的に提示する場合もある。「例えば、多くの海外子会社を持つ企業グループの財務データから、われわれのRisk Analytics(リスクアナリティクス)によって子会社ごとのリスクをスコアリングし、リスクの高い会社を瞬時に識別するといったことが可能です」(神津氏)。
このRisk Analyticsでは財務データだけでなく、予算の達成状況や勤怠情報といった非財務データもスコアリングに含めることができる。
また、デロイト トーマツが開発した異常検知のアルゴリズムを使い、機械の稼働データからAIによって異常検知や故障予知を行う方法をIDO Labの参加者に体感してもらうといったこともできる。
すなわち、IDOへの変革に向けた課題は企業によって全く異なるため、IDO Labはその課題に応じて全てカスタムメイドで実施されるわけである。