実権を握っていたのは
定年退職したばかりの“元室長”
◎事例 近藤さん(30代後半・男性)のケース
近藤さんが、あるメーカーの営業企画室長として働き始めて3ヵ月がたちました。
この会社は、業績不振で新卒採用をしない期間が長かったため、平均年齢が高くなっています。営業企画室も例外ではなく、事務職を除く15人ほどのメンバー全員が、近藤さんより10歳以上も年上でした。
近藤さんは、大手金融機関からヘッドハンティングされて今のポジションにつきましたが、“室長”とは名ばかりで、実権は定年退職したばかりの“元室長”Aさんが握っていました。この会社では、定年退職になった社員を「シニアアドバイザー」として再雇用し、文字通りアドバイス役として元いた部署に残る制度があります。再雇用契約となるため平社員となり、給与も大幅減額となります。
近藤さんは、金融機関出身ということもあり、常に数字を意識しています。転職してきてすぐに、自分や自分のチームが1日も早く会社の売り上げに貢献できるよう、熱心に業界について勉強し、Aさんには積極的にアドバイスを求めていました。しかし、近藤さんはやがて、自分が“空回り”しているような違和感を持ち始めます。
部署のメンバーは、指示を仰ぐ際にはいまだにAさんのところへ行き、近藤さんへは事後報告ということがよくありました。Aさんも、大手取引先の情報やデータなど要となる部分を、なかなか近藤さんに引き継いでくれません。Aさんに取引先の情報などを共有させてほしいと何回か伝えていましたが、なんだかんだ理由をつけては、のらりくらりとかわされてきました。
近藤さんは営業企画室を統括する統括部長と話す機会があったとき、思い切って現状を伝え相談したところ、統括部長から角が立たないようにAさんに話してみるということになりました。
しかし数日後、近藤さんはAさんから個別に呼ばれ「私に直接言わないで、統括部長にあることないこと話したそうだが……」と言われてしまいます。状況を説明しようとAさんの顔を見ると、鬼のような形相で近藤さんをにらみつけていました。
それをきっかけに、メンバーの近藤さんに対する態度が明らかに変わり、Aさんの実質的な権力を“盾”に堂々と近藤さんをいじめるようになりました。



