これが「同調行動」です。このような「集団圧力」は、ときに普通の人を“悪人”に変えてしまうことがあります。おそらく、Aさんやメンバーたちはサイコパスなどではなく、いわゆる“普通の人”です。
1940年代に「アッシュの線分組み合わせ課題」という心理実験が行われました。
左側に1本の線分が、右側に複数の線分が書かれていて、被験者に「左側の線分と同じ長さの線分を右側の複数の線分から選択してください」という課題を与えます。右側の線分の中には、1本だけ左側の線分と同じ長さの線分がありますが、これは一目で分かるようになっています。
しかし、自分以外の全員が違う長さの線分の1つを右側から選択すると、ほとんどの被験者に、その線分を選択するという「同調行動」が起こりました。このときの被験者には、間違っていると分かっていながら周りに合わせた人もいれば、自分の答えに自信が持てなくなった人もいたそうです。「集団への同調」は自分の判断や捉え方にも影響するということです。
「黒い羊」になってしまったら
どうすべきか
集団の中で、自分が近藤さんのような「黒い羊」になってしまったら、どうしたら良いでしょうか――。
対処法のポイントは――(1)背景とメカニズムを把握する、(2)「白い羊」を楽しませない、(3)特定の人に具体的な援助を求める――です。
(1)背景とメカニズムを把握する
“イジメ”が起こる背景には欲求不満があります。欲求不満は「いらいらする、怒りっぽい」という状態で、空腹など生理的欲求が満たされないときや、自分が望む地位を得られないなど社会的欲求が満たされないとき、要するに自分の思い通りにいっていないときに生じる不快感を指します。
私たち人間が攻撃的になるのは、欲求不満が高まっているときに多いといわれています。「黒い羊」になったらできるだけ冷静に、そうなった背景を理解するようにしましょう。
近藤さんの場合は、地位や給与に不満を抱いて嫉妬しているAさんやメンバーたちの心理的背景を理解して、対処法を落ち着いて考えることが重要になります。



