データサイエンスとスポーツ
データに基づいて意思決定するプロセスを身に付ける
来年度からデータサイエンス学部講師に就任予定の永田聡典氏(現・立正大学社会福祉学部社会福祉学科)は、高度なテクノロジー化が進む競技スポーツの現場で、データを取得・分析し、選手やチームのパフォーマンスや成績を向上させた経験を豊富に持っている。
データサイエンス学部
永田聡典(あきのり)講師
(就任予定)
「今、スポーツ分野ではデータサイエンスの浸透が進んでいて、特にトップレベルのチームにおける利用は必須となっています」と語る永田氏。例えばバレーボールの場合、相手チームの攻撃パターンを事前に蓄積し、ゲームプランを練って練習で実践し、試合中もリアルタイムのデータを1球ごとに分析し、情報を監督のタブレットに送る。そのデータに基づいて、相手の裏をかくシフトを敷いたり、サーブの位置に変化をつけたりする。
「データはチームの共通言語になるというメリットもあります。監督と選手の認識のギャップを埋めてくれるため、チームビルディングに非常に有効になるのです」(永田氏)
またデータサイエンスはトレーニングにも役立つ。例えばコンタクトプレーに必要なパワーを高めるため、バーベルを上げる速度をセンサーで測りデータ化する。それに分析を加えることで、個人の特性にあった品質の高いトレーニングメニューが組み立てられる。適切なデータとメニューがあれば、けがの予防やけがからの復帰にも役立つ。
「昨年活躍したラグビー日本代表チームは、トレーニングや体調管理はもとより、GPSにより走行距離や心拍数などをトラッキングし、プレー映像とスタッツ(技術評価)も加えて、全てのプロセスをデータ化し、戦術を組み立てた、データサイエンスの塊のようなチームでした。学生たちには、まず自分のパフォーマンスを測定、強化できること、データに基づいて意思決定していくプロセスを身に付けてほしいと考えています」と期待を語る永田氏。データサイエンスに裏付けされた練習と戦術で、弱小チームをトップレベルに引き上げる。そんな"もしドラ"のようなプロジェクトも試みたいと、夢を描く。