60歳以降の生命保険は
不要な場合が多い理由
しかしながら無駄な出費の最たるものは各種保険だろう。保険というのはめったに起きないけど、もし起きてしまったら、とても自分の蓄えではまかなえないような大きな経済的危機に備えるものだ。例えば生命保険で言えば、人生のある時期においては加入が必要だろうが、全ての期間で必ず必要というわけではない。そもそも生命保険の役割は、保険を掛けている本人が亡くなった場合、残された家族が生活に困らないようにすることだ。老後の生活において、それが必要かどうかはよく考える必要がある。仮に60歳時点でも、まだ中学生や高校生ぐらいまでの子供がいれば必要だろうが、既に子供が独立していたとしたら生命保険はほぼ不要だ。仮に配偶者と年が離れていたとしても遺族年金があるので、一定額の生活保障はある。巨額の資産を持っている場合の相続対策として生命保険が有効な場合はあるが、ほとんどの人にとっては60歳以降の生命保険は不要だろう。
ところが、意外なことに年配の人でもかなり多額の生命保険に入っているようだ。公益財団法人 生命保険文化センターが調べて平成30年12月に出した「生命保険に関する全国実態調査」※1によれば、「世帯年間払込保険料」(生命保険)は60歳~64歳で年間43.9万円、65歳~69歳では年間33.8万円となっている。これは正直言ってかなりの金額だ。たしかにこんなに保険に入っていたら貯金がなかなかできないというのもうなずける。
仮に年間40万円払っている保険を止めてそれを貯蓄に回せばどうなるだろう。10年間で400万円、20年間で800万円の蓄えができることになる。ひと頃、老後に2000万円必要という話があったが、保険料の払い込みをやめるだけで800万円貯まるのであれば、その4割はカバーできてしまうことになる。生命保険の意味をもう一度考えてみて、見直しをすることが必要ではないだろうか。
さらに医療保険も考えてみよう。前述の「生命保険に関する全国実態調査」を詳しく見てみると平成18年当時の「世帯年間払込保険料」は60歳~64歳では年間58.3万円となっていた。平成30年のデータではそれが43.9万円になっているので、この12年の間で年間払込保険料は14.4万円減っている。これは生命保険の見直しが着実に進んで不要な保険をやめる人が多くなったせいだろう。ところが生命保険はやめても医療保険に入っている人はかなり多いと思われる。



