データサイエンスと社会

科学的根拠に基づいたデータ分析で犯罪を未然に防ぐ

立正大学
データサイエンス学部
原田 豊教授(就任予定)

 来年度からデータサイエンス学部で教壇に立つ予定の原田豊(現・法学部法学科)教授の専門は、犯罪社会学である。原田教授は、警察庁の科学警察研究所の犯罪行動科学部長を経て2019年4月から現職。研究所時代には、一貫して犯罪の未然防止のための研究を行ってきたという。

「欧米の犯罪学では、科学的根拠に基づく犯罪予防(evidence-based crime prevention)という考え方が主流になっています。私の専門の犯罪社会学も、まさに科学的なデータ分析の助けを借りて、犯罪を予防しようとする研究分野です」と説明する原田教授。

 犯罪対策には、子どもの成長発達の段階に応じた適切な支援で犯罪を防ぐ「発達的犯罪予防」と、犯罪を行いにくい状況を維持する「状況的犯罪予防」の二つがある。特に後者では、犯罪が「どこで」発生したのかという情報が大切になる。そのために活用されるのが、「地理情報システム(GIS)」などの地理空間データだ。原田教授は2000年前後から、その地理空間データを利用して、犯罪の類型別のマッピングを行ってきた。

「犯罪は満遍なく起こっているわけではなく、起こる場所が集中しています。暴行や傷害などの粗暴犯は、ターミナル駅付近の盛り場を中心に発生し、引ったくりなどの犯罪は住宅地に広く分布し、発生リスクが高いのはあまり出歩かない高齢の女性であることが判明しています。また東京・新宿の歌舞伎町に配置された防犯カメラの効果を分析すると、抑止効果があるのは仮睡者などへの窃盗で、粗暴犯には効果が少ないことも明らかになっています」(原田教授)

 犯罪を防止するためには、的を絞った対策こそが効果的となる。原田教授は子どもを守る防犯街歩き支援ツール『聞き書きマップ』を開発し、研究成果の市民への還元も行っている。データサイエンス学部では、科学的なエビデンスに基づいた犯罪予防策の実態を講義するほか、その分析ノウハウの他分野への応用についても扱う予定だ。

犯罪密度の地図の3次元表示。新宿・渋谷・池袋などターミナル駅を中心に発生しているのが分かる(「東京23区内の暴行・傷害密度分布」原田豊教授作成)
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