2020年10月9日、ダイヤモンド・オンラインと東急リバブルはWebセミナー「ポストコロナを生き抜く 企業の不動産戦略」を開催した。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行によって、多くの企業が業績を下げている。倒産や事業の縮小、リストラを余儀なくされている企業も珍しくない。このような危機に際して、企業は何をすべきか。識者が語った。
「できることはすべてやれ。やるなら最善を尽くせ」
最初に登場したのは、経営コンサルタントの小宮一慶(こみや かずよし)氏。小宮氏は講演の冒頭で「できることはすべてやれ。やるなら最善を尽くせ」という言葉を紹介した。これは、ケンタッキーフライドチキンを創業した、カーネル・サンダースの言葉だ。
カーネル・サンダースは、フライドチキンのビジネスを65歳の頃に始め、1000軒の店にフランチャイズにならないかと勧誘して回ったが、すべて断られたという。しかし現在、ケンタッキーフライドチキンの店舗は世界中にある。1000軒に断られた後でも、「できることはすべてやれ。やるなら最善を尽くせ」を実践したからこそ今があるということだろう。
小宮氏は、コロナ禍の中で「できることはすべてやれ。やるなら最善を尽くせ」を実践している企業を紹介した。その企業は九州にあり、空気を入れて膨らませる大きな遊具をイベント会場に貸し出す仕事をしている。しかし、COVID-19の感染拡大が本格的になってくると、予約はすべてキャンセル。仕事は激減してしまった。
ここでその企業は、遊具の仕入れなどで作った中国メーカーとのつながりを活かして、マスクを大量に輸入したのだ。日本では本当にマスクが手に入らなかった時期である。そのマスクは、これまでの付き合いがある顧客などに、利益をほとんど乗せずに販売したという。
さらにこの企業は、空気を入れて膨らませる大きな遊具を設計するノウハウを活かして、空気を入れて膨らませるPCR検査場を作った。内部からウイルスなどが漏れないように、きちんと内部を陰圧にする装置も取り付けてあるという。今では病院などに、貸し出し・販売を行っている。
この話から小宮氏は「できない理由から話し始めると、何もできなくなる」と指摘した。コロナ禍で商売にならないという時に、できない理由を探し始めればいくらでも見つかる。何もしない方が楽かもしれない。しかしこういうときこそ、やる方法を必死に考えるべきということだ。