基調講演で山口氏が語ったように、COVID-19は日本企業の人事部に大きな課題をいくつも突きつけている。このような課題を解決するには、今までのやり方は通用しないと認め、日常の業務を極力効率化し、課題を解決できるツールを導入する必要がある。

 今回のイベントに協賛しているSmartHR、HRBrain、プラスアルファ・コンサルティングの3社はいずれも、クラウドの人事関連サービスを提供している企業だ。基調講演に続き、協賛3社の講演があった。

既存システムを改変することなく
導入できる~SmartHR

中尾 友樹 氏SmartHR 執行役員 VP of Sales 中尾友樹氏

 SmartHRからは、執行役員VP of Salesの中尾友樹氏が登場した。中尾氏は、SmartHRの大きな特徴の一つとして、既存の給与計算、勤怠管理などのシステムはそのままに、SmartHRを追加で導入しやすい点を挙げた。SmartHRが既存システムと連携し、データを引き出したり、渡したりする機能を持っているからだ(次の図)。

 企業規模が大きくなればなるほど、全社員が関係するシステムの改変には長い時間がかかるものだ。SmartHRは、既存システムと連携できる点が評価されているせいか、ユーザー企業に大企業が多いとも中尾氏は語る。SmartHRは、クラウドの人事関連サービスの市場でおよそ35%のシェアとなっているが、従業員1000人以上の大企業になると、52%がSmartHRを選んでいるという。また、COVID-19による外出自粛期間中に急いで導入し、203名の新卒社員の受け入れ手続きをリモートで済ませた例もあるそうだ。

 SmartHRには、「Web給与明細」という機能があるが、給与計算機能は持っていないという。既存の給与計算システムからデータを受け取り、各従業員がWebブラウザで確認できる形で表示するのだ。既存システムの存在を前提としているあたりが、追加で導入しやすそうと受け入れられているのかもしれない。

SmartHRは、企業にすでにある給与計算や勤怠管理などのシステムと連携できるため、追加で導入しやすいSmartHRは、企業にすでにある給与計算や勤怠管理などのシステムと連携できるため、追加で導入しやすい
拡大画像表示

従業員や評価者が使いやすい機能を加えて
評価を形骸化させない~HRBrain

宮本 一希 氏HRBrain関西支社長の宮本一希氏

 続いては、HRBrain関西支社長の宮本一希氏が登場した。HRBrainは、人事担当者の業務を効率化する機能だけでなく、一般社員や管理職に向けた機能も用意しているという。評価シートを全社員に配布し、回収するところまで自動化しており、加えて各社員の目標を簡単に取り出せるようにするという。さらに、目標達成に向けた定期面談の記録も簡単に参照できるところに残せる。

 期首に目標を設定し、記入した評価シートの扱いは難しいものだ。回収し、そのまま保管するだけでは、記入した当人も、評価する上司も目標の存在を忘れてしまいがちになる。宮本氏によると、評価シートの扱いがいい加減になり、評価されるための目標設定となってしまい、評価が形骸化している企業も多いという。

 HRBrainは上述の機能を備えているため、導入企業では目標達成率が向上しているそうだ。評価シートについても、日本中の成長企業が使っている評価シートのフォーマットをあらかじめ用意しており、ユーザーは自社の要望に最も近いものを選び、カスタマイズすることですぐに使い始められるという。定期的な面談の内容を記録するシートも、あらかじめ用意してあるそうだ。

 さらに直近の機能追加として、従業員の精神的な健康状態を定期的に記録するメンタルヘルスチェックシートの機能を実装。従業員全員の精神的な健康状態を管理しやすくなったという。

HRBrainは、評価方式に応じた、さまざまな評価シートのフォーマットをあらかじめ用意しているHRBrainは、評価方式に応じた、さまざまな評価シートのフォーマットをあらかじめ用意している
拡大画像表示