検索広告、バナー広告、リッチメディア広告など、オンライン広告のジャンルの広がりとともに、広告主や広告代理店の配信管理、結果分析などの作業は複雑さと煩雑さを増している。この課題を克服すべく、グーグルはオンライン配信テクノロジーの統合化を推進。これにより、デジタルマーケティングは今後どう変わるのか?グーグルの村松直樹氏と、マーケティング全般に詳しい神田昌典氏が、今後の動向を展望する。

──日本のデジタルマーケティングの現状と、今後進むべき方向性について、神田さんはどのようにお考えですか? 

神田昌典
株式会社ALMACREATIONS
CEO・President
経営コンサルタント・作家。上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。上智大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。2007年、総合誌で"日本のトップマーケッター"に選出される。現在、ビジネス分野のみならず、教育界でも精力的な活動を行っている。著書の累計出版部数は250万部超。

神田 ご承知のように、長引く不況の中で企業は非常に困難な状況に置かれています。それを乗り越えていくためには、二つの解決策が考えられます。

 一つは、数年先も見据えて、将来の社会ニーズに対応する新規事業に全社を挙げて取り組んでいくことです。政府が「日本再生戦略」として掲げる新エネルギーや医療・介護などの11分野に活路を求めるのも方法でしょう。

 しかし、政治や経済の混乱がある程度収まらなければ、次の時代の方向も定まりません。そのため、今は思い切って新規事業に踏み込めないのが実情でしょう。

 そこで、もう一つの取り組みとして考えられるのが、新しい時代の方向が定まるまでの数年間は、すでに持っている技術やノウハウを生かしながら、せっせと現金を稼いでおくことです。やがて時代の方向性が定まったら、蓄えた資金を生かして積極的に新規事業に取り組めばよいのです。

 とはいえ、既存の技術やノウハウによる製品、サービスだけで、思い通りに販売実績を上げるのは難しいでしょう。これまで以上に、“売り方”を工夫することが求められます。