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神田 そこで有効なのがデジタルマーケティングの活用です。

 日本でも、検索広告やバナー広告といったオンライン広告が一般化して十数年がたちましたが、「マス媒体広告に比べて費用対効果が低い」とか、「費用対効果が読みにくい」と考えている企業が多いようです。

 しかし、それは広告効果に対する分析をしっかりと行っていないからであって、精緻な分析を基にオンライン広告の打ち方、見せ方を工夫したり、発信する相手ごとに変化を加えたりといったきめ細かな取り組みをすれば、マス媒体広告とは違った広告効果が得られるのではないかと思います。

──デジタルマーケティングで先行する米国の状況はいかがでしょうか? 

村松直樹
グーグル株式会社
マーケティングテクノロジー営業部
統括部長
慶應義塾大学経済学部卒、ニューヨーク大学経営学大学院経営学修士号(MBA)。ニューヨークにて長年インターネットビジネスに従事。直近では、企業買収やPMIなどの広告代理店の国際デジタル戦略を担当、2012年帰国後グーグル入社。広告代理店や広告主向けマーケティングテクノロジーの営業責任者として、日本と韓国の市場を担当。

村松 米国では、すでに15年ほど前からオンラインマーケティングが始まっており、われわれグーグルのような検索エンジンや、動画サイト、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)など、オンライン広告媒体の種類と数は非常に豊富です。

 また、オンライン広告の種類もバラエティに富んでおり、ディスプレイ広告だけで見ても、通常のバナー広告だけでなく、音声や動きのあるリッチメディア広告など、遊び心を盛り込んだ表現方法がどんどん進化を遂げています。

 広告の受け手である消費者も、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど、オンライン広告に接する手段や機会が多様化していますし、それが消費者の購買スタイルを変える大きな力にもなっています。

 こうした変化に合わせて、米国のオンラインマーケティングも急速に進化を遂げてきました。

 米国のマーケッターたちは、消費者をマスで捉えるだけではなく、最新のマーケティングノウハウやテクノロジーを駆使することで、個々の消費者の心をいかにつかみ、購買やブランド認知の向上に結び付けるかということを競い合っています。

 例えば、同じバナー広告を配信する場合でも、デザインやメッセージを変えた数種類のパターンを作成し、受け手によって異なるパターンの広告を表示するといった手法が一般化しています。