驚愕の「出口の入口」

寺田庸二(以下、寺田):百々さんは紀伊國屋書店梅田本店に「出口の入口」という、なんともチャーミングなコーナーをつくられましたね。

【出口治明学長】本ひとすじ30年の書店員が告白!今、コロナ禍で問う、本屋の使命とは?「出口の入口」

2019年8月9日、『哲学と宗教全史』の出口さん講演会前日にお邪魔したとき、「出口の入口」が正面入口にどーんとそびえ立っていたのを見た瞬間、僕はその場に立ち尽くしてしまって…(笑)。

【出口治明学長】本ひとすじ30年の書店員が告白!今、コロナ禍で問う、本屋の使命とは?寺田庸二(てらだ・ようじ)
ダイヤモンド社書籍編集局第三編集部編集長
おもな担当書籍に、ダイヤフェア2021にもノミネートされた『哲学と宗教全史』(ビジネス書大賞2020特別賞、14刷11万部)『ザ・コピーライティング』(広告の父・オグルヴィ絶賛、25刷11万部)『志麻さんのプレミアムな作りおき』(料理レシピ本大賞入賞、22刷18万部)など。1998年から書籍編集をはじめ、全150冊(うち処女作26冊、最新処女作は『売上最小化、利益最大化の法則』)、生涯重版率8割。野球歴14年。「技術と精神がドライブがかった本を、孫の世代まで残る百年書籍を、光のあたらないところに光があたる処女作を」が3大モットー。
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出口:それで僕は大阪に行っても、紀伊國屋書店さんには恥ずかしくて行けないのです…というのは冗談ですが(笑)、僕は昔から本屋さんは好きです。

僕には記憶がないのですが、亡くなった母に言わせると、僕は小さい頃、

「なんで本屋に生んでくれなかったんだ。そうしたら毎日、本が読めるのに」

と駄々をこねていたらしいです。本当にわけのわからない子どもだったと、母親によくからかわれていたんですけど。

僕は、本屋は世界だと思っています。

ひとつの世界の縮図、時間と空間の縮図だと。

図書館もある意味そうですが、図書館の本はちょっと古かったり、新刊はすぐに入らなかったりします。でも本屋は、どこの国の本もあり、昔の本もあって、常に最新の本もある。今の世界のビビッドな動きを表現しています。だから本屋は世界の縮図。いつ行ってもワクワクしますね。

僕は外国に行っても、本屋に行くのが好きです。英語圏なら、英語は下手でも、一応タイトルだけは読めます。中国なら漢字が一緒なので、だいたいタイトルの意味はわかる。だからタイトルを見るだけで、その国ではどんな本が売れているかがわかります。

「その国の状態は、本屋と市場に行けばわかる」と思っています。どんなものを食べ、どんな本を読んでいるか。この2つを見たら、その国のことがだいたいわかるのではないでしょうか。

寺田:本屋という世界の縮図に、百々さんは「出口の入口」というコーナーをあえてつくられた。百々さん、「出口の入口」には、どんな想いが込められているのですか。