「好奇心の窓」がガンガン開いていく本と
本屋の使命

百々:まさに今のお話もそうなのですが、出口さんの本を読んでいると、話が多岐にわたるので、好奇心の窓がガンガン開いていく気がするのです。

ただ、お客様の好奇心の窓を開くのは、そう簡単なことではない。というか、ほぼ不可能だと思うのですが、先ほどの哲学を志した女子高生のように、出口さんの本を読むと、さらにその次を知りたくなります

特に今回の『哲学と宗教全史』はそうでしたね。この本はいわば、お客様を啓蒙しながら売れていく。この本を大きく展開し続けることによってお客様のリピート率が確実に上がった気がします。

哲学と宗教全史』は刊行1年半以上経った今でも店頭で売れ続けていますので、この先、もっともっと売れる範囲が広がっていきます。今後も強くお客様に薦めていくつもりです。

こうして、いろんな人に良書を紹介しながら、お客様に新しい価値を提供する。良書を継続販売しながら、地域のお客様の意識を変えていくことができる。こういうところがすごく面白い。コロナ禍の今、僕はこれが本屋の使命だと思っています。

寺田:百々さんの「好奇心の窓がガンガン開いていく」という表現が素敵ですね。

たしかに編集部にも、「この本の巻末に参考文献がたくさんあって、これが読みたくなった。ありがとうございました」という読者からの熱いハガキが数多く届いています。

百々:2019年8月10日に行われた『哲学と宗教全史』の刊行記念講演会も、発売3日目の開催と通常ではありえないスケジュールだったのですが、130名の枠がすぐに埋まりました。はるばる別府から駆けつけていただいた出口さんには質疑応答まで丁寧に答えていただき、お客様も大満足の様子でした。出口さんの本を待ちわびている人たちと出口さんが直に質問し合っている姿を見るのはすごく楽しい。書店員冥利に尽きます。

出口:コロナが収束したら、またぜひ講演会をお願いしたいですね。

百々:ぜひ。コロナ以降は一人のお客様の来店頻度を可能な限り高くして、一人でも多く「読書家」になっていただくことに注力しています。

その「入口」はやはり出口さんの本が一番適しているのではないかと、講演会のお客様を見て思うのです。

おかげさまでお客様の来店頻度は確実に上がっていますし、講演会のたびにチケットが売れ切れる日数が早くなっていきます。

出口:もうなんか、ますます恥ずかしくなって、インタビューの録音を停止したい気持ちですけれど(笑)。ありがとうございます。

(次回につづく)

 過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。

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