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企業は本質的な解決策を見出せるか。
マーケティングはドラスティックに
再定義されている

「アドテック東京 2012」からのメッセージを検証

河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]
2012年11月14日
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2.高まるO2Oへの
期待とハードル

 現在のマーケティング業界で話題のワードになっている「O2O」やその周辺をテーマにしたセッションも多く、参加者の注目も高かった。「O2O」は「Online to Offline」の略語で、Eコマースの領域で用いられることが多いが、もはや「ウェブで知ってもらい、(ときにはクーポンなどを配布して)リアルな購買を促進する」といった販促の手段に留まらず、ブランディングやファン作りの手法として取り入れる企業も増えているようだ。

 むしろ、「企業や商品の世界観に紐づく体験をいかに提供するか?」という広い意味でのO2O的アプローチが、今は求められているように思える。

ギャップ
トリシア・ニコルズ氏
Global Lead of Consumer Engagement, Media Strategy and Brand Partnership

 その意味で興味深かったのが、GAPによるキーノートである。登壇したトリシア・ニコルズ氏(Global Lead of Consumer Engagement, Media Strategy and Brand Partnership)は、同社がいかに「生活者とのあいだにカルチュラルなレリバンシー(文化的な絆)を構築しているか」というアングルから講演した。

 続いてGAPジャパンの遠藤克之輔氏(ディレクターデジタル/CRM&Gapマーケティング)が同社の最近の取り組みとして、「Gap Creative Label」「GINA vs. HARAJUKU SUMMER T コーデ イベント」などを紹介。「Gap Creative Label」では人気アーティストらとのコラボレーションプロジェクトの情報を、tumblr中心に各種ソーシャルウェブ連動スタイルで拡散し、ストアでのリアルイベントにまで結びつけたという。

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遠藤克之輔氏
ディレクターデジタル/CRM&Gapマーケティング

 遠藤氏がFacebookを用いたO2O施策として紹介したのが「GINZA vs. HARAJUKU SUMMER T コーデ イベント」である。これはユーザーがFacebookページで事前登録を済ませた上で来店するとリストバンドが配布され、「自分の好きなコーデを身につけた店舗スタッフとハイタッチすると、Facebook上の“いいね”として反映される」キャンペーンだ。

 店舗スタッフのモチベーションを高める目的もあるのかもしれないが、期間中はブランドに関するメンションが4倍となっただけでなく、終了後も1.5倍のエンゲージを達成できたという。「得した」に留まらない愛着をユーザーに感じてもらうことが、今後のO2O領域での一つのポイントになりそうだ。

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河尻亨一
[元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

1974年、大阪市生まれ。99年、早稲田大学政治経済学部卒業。お茶の水美術学院講師を経て、2000年より雑誌「広告批評」(マドラ出版)に在籍。08年、編集長就任。10年、同社退職後、雑誌・書籍・ウェブサイトの編集、企業の戦略立案およびPRコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるほか、講演活動なども行っている。

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