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【対談】中古住宅市場の活性化に向けて―― 米国に学ぶスピーディで公正な不動産取引

■SPECIAL TALK―― 
井端 純一 オウチーノ代表取締役社長
ジェイスン渡部 全米リアルター協会日本大使

【対談】中古住宅市場の活性化に向けて――
米国に学ぶスピーディで公正な不動産取引

著者・コラム紹介
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井端 住宅を持つ人の義務、といっていいですね。

渡部 例えば井端さん宅の芝生が伸びていて景観を損ねていたら、近隣住人がHOAに申し入れ、HOAから井端さんに「1週間以内に芝を刈ってください。8日目から毎日罰金を取りますよ」と連絡がくる。それでも井端さんが放っておくと、罰金が加算されてHOAへの借金が積み重なり、井端さんはそれを返済しない限り、家が売れないということになります。

井端 規則や罰則を設けてまで景観を守るのは、なぜでしょう。

渡部 住宅価値の維持です。「すばらしい住宅地だ」「この住宅地なら住みたい」と一般からの評価を上げることで、将来、有利な条件で家が売れます。

井端 ここが日米の住宅に対する考え方の大きな違いでしょう。日本では、住宅は社会資産と見なされない。米国では資産であり一種の投資。だから価値を上げるために手を尽くすのです。

渡部 買ったままで外壁も修理していない、キッチンシステムやカーペットは25年もの、といった家は、MLSに情報を公開した時点で、不動産価値が低く評価されます。逆にきちんとメンテナンスしておけば、高く評価される。オーナーたちはそれだけの維持費をかけている。MLSの恩恵を享受する不動産業者と消費者には、それぞれ義務や試練も伴うのです。

井端 ちなみに中古住宅のリフォーム率を見ると、米国は日本の約1・6倍多い。入居後最初にリフォームする時期も、日本が8・1年で米国が6・2年と、米国のほうが早い。さらに米国ではDIYも盛んです。

渡部 DIYやリフォームで、毎日の生活を楽しんでいる側面もあります。景観を美しく維持することで居住者が生活をエンジョイし、しかも次の世代の消費者が買いやすい。これが中古物件の魅力でしょう。

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Column
米国の中古住宅取引制度

 米国の中古住宅取引には、「売り」と「買い」に、それぞれ異なる不動産業者が関わる。売り手のために物件情報を市場に出す役目をリスティング・エージェント(セラーズ・エージェント)が担い、買い手のために物件を探すのはセリング・エージェント(バイヤーズ・エージェント)になる。仲介手数料は売り主が支払い、リスティング・エージェントとセリング・エージェントが50%ずつ受け取る。契約時に重要なのがエクスロー。中立の立場で、公正でスムーズな取引を促す専門家で、法律手続きや支払い、登記までを代行。その費用は売り主と買い主が折半する。このほか建物調査のプロ、インスペクターがいる。第三者の立場で、土台や屋根、電気系統や水回りなどの状態を調査し、問題を指摘してくれる。インスペクターを雇うかどうかは買い主の任意。買い主は仲介手数料がかからない分、インスペクターに費用を回せる仕組みになっている。

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