「バリューチェーン・イノベーター」(VI)という独自のサービスを提供し、現場に密着したコンサルティングで企業のデジタル変革を支援するModis VSN。総合人財サービス大手アデコグループの一員だが、その支援領域はIT・R&D領域における人財派遣の枠を超え、クライアント企業の製造現場や経営の変革、さらには社会課題の解決にまで広がりを見せている。「VI」が日本のIT・R&D領域にもたらす価値について、Modis VSN 執行役員 Consulting事業本部本部長の塩田ゆり子氏に聞いた。
現場で培った知見をもとに、
IT・R&D領域のデジタル化を支援
編集部(以下青文字):アデコグループの一員であるVSNは、「Modis VSN」(モディス・ブイエスエヌ)のブランドでIT・R&D領域のエンジニア派遣、請負およびコンサルティングサービスを提供しています。
塩田さんはConsulting事業本部の責任者の立場ですが、日本のIT・R&D領域におけるDXの現状をどのようにご覧になっていますか。
塩田(以下略):一般的な認識としては、日本の製造業のDXはコロナ禍の影響もあって以前よりは進んだけれども、欧米に比べるとまだ遅れており、課題があると考えています。
ただ、日本でも業務のデジタル化がかなり進んでいることを私は実感しています。すでにリモートワークのインフラはかなり整ってきましたし、スマートフォンでできる仕事も増えてきました。日常の生活シーンのほうがスマホやクラウドの活用が先に進んだ感はありますが、仕事の現場でもデジタルの活用は浸透しています。
一方で、中小企業を中心として新規投資ができずに、デジタル化を加速できない企業が多いことも事実です。私は7年ほど前、「インダストリー4.0」の視察でドイツを訪れたことがありますが、日本と同様に中小製造業が多いドイツではすでにデジタル活用がかなり進んでいました。
欧米に比べるとデジタル化への投資が遅れていることは否めませんが、ものづくりに強い日本が積極的にデジタル化を推し進めれば、欧州や米国に負けないスマートインダストリーの仕組みを構築できると思っています。
私がR&D領域の企業の方々と対話する限りでは、皆さんしっかりとDXの方向に向かっています。
Modis VSNはIT・R&D領域のDXを支援するため、経営戦略から製造現場に至るまでの総合コンサルティングサービスを提供しています。そもそも、エンジニア派遣を行うModis VSNが、なぜコンサルティングビジネスをスタートさせたのでしょうか。
IT・エンジニアリング分野の人財サービスで培った経験とノウハウを活かしつつ、顧客企業に新たな価値を提供できるサービスは何かと考えた時、たどり着いたのがコンサルティング事業だったのです。
当社が正社員として雇用し、顧客企業に派遣しているエンジニアは、派遣先の現場が抱えるさまざま課題に直接向き合っています。さらには、顧客企業の経営戦略や風土が現場にどのような影響を与えているかも、日々肌で感じています。
1社当たりでだいたい5〜6人、多いところだと100人ほどの当社のエンジニアが常駐しており、さまざまな部署で働いていますので、顧客企業のバリューチェーン全体を見渡した時に、どこにボトルネックがあるのかを自然と理解できます。
一方で、エンジニアの派遣先は通常3~5年程度で変わるので、いろいろな業界、異なる企業のドメイン知識を身につけていると同時に、企業は違っても共通する課題についてもよくわかっています。これは、社外の視点をもっている派遣エンジニアならではの強みです。
そうした知見とエンジニアとしての豊富な経験・実績をもとに、部門レベルの課題、企業全体の課題を発見し、その解決策を提案するのが当社のコンサルティングサービスです。もちろんエンジニア集団ですから、提案だけに留まらず、新しいシステムや業務プロセスの実装までを顧客企業と一緒になって行います。
コンサルティング事業を開始してから今年(2021年)で11年目になりますが、おかげさまで現在ではIT・R&D領域を中心に約400事業所と取引をさせていただいています。