他のコンサルティングファームと比較した場合、Modis VSNの特徴や強みは何ですか。
たとえば、スマートファクトリー化をはじめとする製造現場のデジタル化を支援するためには、IT/デジタルの専門知識や技術だけでなく、現場の機械や設備、オペレーションに関する知識と経験が必要です。また、先ほど申し上げた業界ごと、企業ごとに特有のドメイン知識も重要です。
一般的なコンサルティングファームは、IT/デジタルには強くても、現場や業界の個別事情への理解が乏しい傾向があり、両者をうまく融合できないケースが珍しくありません。
その点、当社は製造現場へのエンジニア派遣が大半を占め、IT/デジタル関連に強い社員も多いので、現場のニーズに合ったDXを提案できるのが大きな強みだといえます。そして、繰り返しになりますが、実装まで顧客企業に伴走できることも強みであり特徴です。
コンサルティングからエンジニア派遣まで、
一気通貫のサービスを提供
Modis VSNはコンサルティング事業において、「バリューチェーン・イノベーター」(VI)という独自のサービスを展開されていますね。
現場ごと、事業部門ごとの課題だけでなく、顧客企業のバリューチェーン全体が抱える課題を包括的に変革するという考え方です。
この概念が生まれたのは、当社がコンサルティング事業を始めてから数年経った頃でした。ある大手製造業から依頼を受けて事業部門ごとのコンサルティングを行った際に、それぞれ同じような課題を他の部門でも抱えていることに気づいたのです。「これは、そもそも会社全体としての課題ではないか」と思い至り、その企業の役員に直接会って変革を提案したところ、とても高い評価をいただきました。
Consulting事業本部 本部長
塩田ゆり子
Yuriko Shiota
社内の人たちは他部門の業務内容や仕事のプロセスをよく把握していなかったり、いまの仕事の進め方が当たり前だと思い特に変革の必要性を感じていなかったりすることがありますが、部門を超えて会社全体を見渡せ、他の企業のこともよくわかっている私たちだからこそ、見えること、気づけることが多々あるわけです。
ですから、私たちはバリューチェーン全体を俯瞰して、最適化に向けた変革を担う「VI」として、他社とは一線を画したコンサルティングサービスを提供しています。
現場で起きている課題や、それぞれの課題の関係性は経営層には見えにくいものですが、それを可視化したうえで、バリューチェーン全体の変革を提言するわけですね。
ある顧客企業の経営者は、私たちの提言を聞いて、「現場の課題がここまで上がってくることはなかった」とおっしゃっていました。それほど、現場と経営の距離が離れており、バリューチェーンの全体最適化を妨げる要因となっていたのです。
当社は、製造現場の課題を肌身で感じるだけでなく、その肌感覚を経営層にしっかり伝えることで、経営のあり方や企業文化の変革にまで踏み込んだコンサルティングを行うことができます。これも、一般的なコンサルティングファームとの大きな違いです。
Modisブランドでのコンサルティングサービスは日本に留まらず、海外でも広く展開していますね。
おっしゃる通りです。Modisブランドでのサービスはアデコグループが世界約20カ国で提供しているので、海外拠点を含む顧客企業のバリューチェーン全体の最適化を支援することができます。
グローバルとしての変革プランを策定し、それに合わせて国ごと、拠点ごとの人財紹介や人財育成などを支援することも可能です。
顧客企業の変革を促した事例を教えてください。
たとえば、ある通信キャリアが製造業向けのソリューションを開発するプロジェクトを支援したケースがあります。
この通信キャリアは、工場のスマートファクトリー化を実現する通信基盤の開発を進めていたのですが、製造現場が抱える課題に関する知見が不足していたため、顧客ニーズにかなった機能やサービスを盛り込めないことに悩んでいました。
そこで、当社が支援させていただくことになりました。現在、この通信キャリアは、当社のアドバイスをもとに、製造現場に求められる機能やサービスを搭載した通信基盤のPoC(概念検証)を行っています。
また、ある情報システム会社は、社内での人財育成に課題を抱えておられました。ITに関する知識を持っているだけでなく、顧客企業が抱える課題に応じて柔軟に解決策を提案できる人財を育成したいと考えていたのですが、社内の教育プログラムだけでは対応できませんでした。
そこで当社の人財育成プログラムを活用してもらい、さらに、当社が蓄積してきたコンサルティングスキルの習得も支援しました。現在、当社で活躍するコンサルタントのほとんどがエンジニア出身ですが、当社が彼らをコンサルタントに育て上げたノウハウを、ほとんどそのまま提供しています。
その結果、この情報システム会社にはITコンサルタントを社内育成する仕組みが整い、多くの人財を輩出できるようになりました。