創立50余年を迎えた三幸は、技術革新が進む半導体業界でプレゼンスを発揮している。カーボン、セラミックス、精密機械の事業が3本柱で、近年は精密機械の自社製造に力を入れる。また大学とコラボレーションしてベンチャー企業を設立、次世代「新素材」の開発にも取り組んでいる。
(グラファイト)製品
ヒーターや坩堝、サセプターの他、断熱材や保温シールドなどの設計も行う
モノを作るとき、融解や化学反応が必要な加工の場合、素材が何であれ、どこかで必ず加熱をする工程が入る。
「加熱する方法は大きく二つあります。一つは抵抗加熱方式。これは発熱体に電気を流すことにより発生する熱を利用するもので、装置の素材には電気を通すカーボンを用います。もう一つは高周波加熱方式。高周波の電磁場による発熱現象を利用するもので、装置の素材には、電気を通さないセラミックスを使用します。当社の主力商品は、それらの加熱装置で使われるカーボン(グラファイト)とセラミックスの部品(消耗品)、および、その加熱装置そのものである、真空炉や雰囲気炉など精密機械です」
奥野 敦
代表取締役社長
そう説明するのは奥野敦社長である。三幸の創業は1969年。当初はカーボン製品の商社としてスタートし、80年代半ばから半導体製造装置用部品の取り扱いを開始した。転機は2000年ころ。2代目の社長(神永俊浩・現会長)がモノづくりへの挑戦を始めたのだ。
「当時、カーボンメーカーなどが商社(代理店)を通さないで顧客に直接販売することが多くなり、商流が変化しました。利益は右肩下がりになり、その状況を打破するために、自社でのモノづくりに着手したのです」(奥野社長)
現在は、製造拠点として富山県と熊本県に三つの工場を擁し、カーボン(グラファイト)製品、セラミックス製品、精密機械製品を製造している。大型の部品は卸売りも継続しているが、事業部別の売上構成比率では、自社製品の精密機械事業が約8割を占めている。