ユニ・チャーム
若手の挑戦を奨励し
共振人材を育てる
「共生社会の実現」を目指すユニ・チャームは、「第11次(※)中期経営計画」で定めた五つの戦略の一つ目に「人材育成の強化、浸透」を掲げているほど、人材育成に重きを置いている。同社の志手(して)哲也専務執行役員は、その理由をこう説明する。
志手哲也 専務執行役員
「当社は、SDGsに貢献することをパーパス(存在意義)としています。それを具現化するためのミッションを『共生社会の実現』、実践すべきビジョンを『NOLA&DOLA(生活者の負を解消し夢を実現する)』と定め、バリュー(共通の価値観)である『共振の経営』を進めています。そのために共振人材を育てることを特に重視しています」
共振の経営とは、日々の知恵が経営層と現場の社員の間を振り子のように行き交って、現場の知恵を経営に活かし、経営の視点を現場が学ぶ経営スタイルのこと。それを実現できる人材が共振人材だ。こうした人材が集まり、共通の目標に向かってお互いの力を結集することで、世界に向けて高品質の商品・サービスを提供し続けることができるという。
同社は人材育成の取り組みが高く評価されて今回の受賞となった。特に審査員から評価された点は、マネジメント層の評価基準の50%を人材育成に置いているところだ。志手専務執行役員は「その評価は大変光栄です」と喜ぶ。
評価基準の中で人材育成のウエートが高いのは、「人は育てるものではなく自ら育つものですが、育つ環境をつくることは上司の重要な仕事」と位置付けているからだ。
会社は人が育つ環境づくりの支援も惜しまない。
「若手がチャレンジングな目標に取り組めるように、全世界共通のIT人事システム『KYOSHIN』を導入し、上司と部下がしっかりと話し合い納得の上でアクションプランに落とし込み、四半期単位で上司が面談により、進捗を確認する仕組みを回しています」
進むべき方向を見失わないよう、3年後、10年後のライフプラン、キャリアプランの作成も並行して行う。「当社に入社した人は育つと、世界で評価される会社にしていきたい」(志手専務執行役員)。同社の共振人材を育てる挑戦は続く。
※2021~23年
人材育成に対する上司の
コミットメントの意識が高い
国際企業戦略専攻
名和高司客員教授
同社のマネジメント層の評価基準の50%が「人材育成」に置かれており、上司が相当なエネルギーをかけてコミットメントしている点を評価しました。部下にチャレンジングな仕事を与えながら、成果につながるサポートも徹底しており、「任せて任さず」の精神が浸透しています。サーベイの結果からも、若手が成長環境を実感していることが分かります。また「共生社会の実現」という理念を言語化した「ユニ・チャームウェイ」を、社員一人一人が意識し、社会全体を良くするために奮闘しています。会社のパーパスを自分ごと化できている点、主観正義性が商品や営業方法に落とし込まれている点も高評価のポイントになりました。