丸井グループ
「職種変更」と「手挙げ文化」で
成長を促し組織を活性化する
丸井グループでは、2013年から「職変(職種変更)」に取り組んでいる。全社的に短期間でのジョブローテーションを大規模に行い、社内に限らず資本提携先への出向なども行っている。個人の中に多様な視点を持つことで成長を促し組織の活性化を図るためだ。
石岡治郎 執行役員人事部長
「最初は戸惑いもありますが、そこで経験したことが次の職場で生きてくる。経験を掛け合わせることで、さまざまな知識が身に付いて発想や視野が広がるとともに、変化に強い人材へと成長します。数年前にアンケート調査をしたところ、8割以上の社員が、自らの成長を実感したという回答を寄せました。また、組織としても、新しく来た人のこれまでにない発想が斬新な取り組みを生み出すなど、組織の活性化につながっています」。そう語るのは、同社の石岡治郎執行役員人事部長だ。
若手人財を育てる環境として、同社の「手挙げ文化」も特徴がある。例えば月1回開催される中期経営推進会議には、手を挙げた社員が参加する。毎回1000人近くが参加したい理由をレポートに書いて提出、その中から300人近くが選ばれて出席する。質疑応答では若手社員も活発に発言を行う。
「手挙げは当社の文化として定着しています。若手のうちから、自ら考えて行動する主体性が育つ環境をつくっていきたいと考え、職場のプロジェクトも指名制ではなく、意欲のある社員が手を挙げて参加します。研修も数多く用意していますが、それも手挙げが基本で強制するものではありません」
今回のCSA賞では、こうした人財輩出性に加え、同社の「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る」という主観正義性が現場レベルまで浸透していること。また三位一体(小売・フィンテック・未来投資)の独自のビジネスモデルを確立し、業界他社と比較しても高い営業利益率を達成していることが評価された。「今回の受賞はこれまで私たちが意識して取り組んできたことが評価されたという意味で、非常にうれしかった」と語る石岡人事部長。受賞を機に今後も進化を続けていく考えだ。
「どこでも活躍できる人材」
を育てている
渋澤 健代表取締役
同社で、「ショップ店員→財務→新規事業」のような大胆な職種変更を行っているのが大きな特徴です。短期間でのジョブローテーションを行うことで、業態が変わっても活躍できる力を養い、どこでも通用するゼネラリストを育てている点を評価しました。組織としても、異動者の多様な意見を取り入れることで、イノベーションを起こしやすい組織風土を醸成しています。また、中期経営推進会議やグループ横断プロジェクトなどへの参加者を”手挙げ”で募っており、それを文化にまで昇華させている点も素晴らしい。自ら手を挙げさせることで、どこでも活躍できる人材に必要な変革力と主体性を育んでいるのです。