WWFの調査で分かった消費者が企業に期待したいことのトップとは?
第2部では、まずWWFジャパンが特設サイト上で実施したアンケート「消費者が企業に期待したい取り組み」が発表された。第1位は「過剰包装の撤廃」第2位は「食品包装やトレー無しでの提供」、第3位は「使い捨て商品の提供撤廃」となり、「余分な包装や使い捨ての商品を提供しないでほしい」という声が上位を占めた。
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次のパネルディスカッションでは、「ユース×企業×国 本音で語るプラスチックの持続可能でサーキュラーな未来」と題し、次世代を担うユースとしての大学生2人と、環境省からプラスチック資源循環法の責任者でもある平尾禎秀氏を交えて議論が行われた。枝廣氏をファシリテーターとして、消費者からのリクエストや学生からの提案や疑問に、企業や政府が答える形で未来の共創の可能性が話し合われた。
SDGs研究の第一人者である慶應義塾大学・蟹江憲史氏の研究室に在籍する現役の大学3年生である落合航一郎氏、田中文也氏は「リユースを楽しく実行できるような提案」や水平リサイクルを容易にするために「パッケージを統一し、ARパッケージでの差別化する提案」など、従来の取り組みにしばられず自由なデザインで例示し、企業や国からの意見を求めた。
現状に縛られず、未来志向でビジネスを考える
大学生の意見に対して各企業からサーキュラー・エコノミーへの移行の必要性は認識しているとのコメントが相次いだ。
キリンホールディングスの別所孝彦氏は、飲料業界におけるリユースの歴史を紹介。かつては瓶容器を回収して繰り返し使われていたが、利便性の追求から缶やペットボトルに変更されていったことを説明した。現在、消費者が環境配慮性を重視するようになり、それに対応するために、サーキュラー・エコノミーへの移行への必要性を示した。
ユニ・チャームの上田健次氏は、夢のある話だと評価。自社の若手からの提案についても、できない理由を探して理屈を語ってしまうことで、よいアイデアの可能性の芽を摘み取ってしまってはならないとの考えを示した。これから先、消費の中心を担う人たちが、環境に配慮できるような買い方、使い方がいいと言うのであれば、企業としても、それに合わせて考え方を変えていかねばならないと話した。
環境省の平尾氏は、消費者が現状を当たり前とせずに、今や将来の消費者が現状を当たり前とせずに「私たちは環境にこのように配慮していきたい」と、よりダイレクトに伝えることができれば、その先の未来も変わっていくと思うと話した。
WWFジャパンの三沢氏は、現在のコミュニケーションは企業から消費者への一方通行が多いのではないかと述べ、企業がサステナビリティを重視する消費者の声を聞く場を積極的に設けていくことを提言。WWFとしてもこのような場づくりを積極的に行いたいとし、今後、環境に配慮する消費者と企業との橋渡しとしての役割を、さらに強化したいとの抱負を示した。