ポストグローバル資本主義時代に問われる多様性のマネジメントと異文化圏におけるリーダーシップ

世界の分断が深まる中で、グローバル資本主義に代わる社会・経済システムの必要性が叫ばれている。そこに新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が重なり、グローバル化は新たなステージを迎えた。一方、デジタルによって世界は瞬時に結ばれ、異文化コミュニケーションの機会は急速に増えている。

こうした時代に経営者はどのようなリーダーシップスタイルで多様性をマネジメントしていくべきなのか。アビームコンサルティング代表取締役社長の鴨居達哉氏とINSEAD教授のエリン・メイヤー氏が、オンラインで議論した。

アフリカで学んだ異文化理解の大切さ

鴨居 メイヤー教授が2014年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』に寄稿された論文(“Navigating the Cultural Minefield,”邦訳「カルチャー・マップ:世界を8つの指標で理解する」)をはじめ、『異文化理解力』やネットフリックスのリード・ヘイスティングス会長兼CEOとの共著『NO RULES』など、いずれも大変興味深く拝読しました。

 私たちアビームコンサルティングは、海外29拠点にオフィスを持つグローバルコンサルティングファームであり、異文化理解や多様性のマネジメントは当社にとっても重要なテーマの一つです。そこで私たちは、メイヤー教授が考案された異文化理解ツールである「カルチャーマップ」(8つのマネジメント行動指標に基づく文化の見取り図、図表1「カルチャーマップによるマネジメント文化比較」参照)をベースとした社内教材を開発し、海外に派遣する社員向けの研修で活用しています。