企業価値を向上させるために、経営の視座を持ったCFOと経営管理基盤の果たす役割とは?

 それらの課題解決の打ち手には、組織改革・プロセス改革・企業文化改革・人材改革などがあるが、三菱重工時代の小口氏は資金部長、グループ戦略推進室長、そしてCFOの立場から「財政立て直し」「事業ポートフォリオの最適化」「経営の見える化」等のプロセス改革をリードした。その経験からCFOの役割とは「社内における資本市場と事業市場のつなぎ役」と話し、「経営を数値で語れる」「不都合な事実から目をそらさない」「不必要な忖度(そんたく)はしない」といった資質が必要だとした。

企業価値を向上させるために、経営の視座を持ったCFOと経営管理基盤の果たす役割とは?国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 理事長(元・三菱重工業株式会社代表取締役副社長執行役員CFO)
小口正範氏

「CEOとCFOは必ずしも価値観を共有する必要はありません。しかし大きな決断を下す際にはCEOとの連携が必須であり、良い意味で社内の内部統制につなげる意味でも、CEOとの日頃からの信頼関係構築を大切にしなければなりません。CFOは嫌われ者になりがちですが、そうであるがゆえ、CFOとして健全にリードしていくためには周囲を納得させる武器を携える必要があります」(小口氏)

グローバル経営管理における最新論点と対応事例

 イベントでは、グローバル経営管理基盤にまつわる最新事例も紹介された。

 まずはセッション1として、「グローバル経営管理における最新論点と対応事例」を紹介したのは、EY税理士法人  国際税務・トランザクションサービス部 移転価格アドバイザリー 会長でパートナーの角田伸広氏と、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ビジネスコンサルティング・ファイナンス アソシエイトパートナー FP&Aオファリングリーダーの上野真氏である。

 外部環境の急速な変化においてもサステナブルに成長するため、レジリエントな経営を下支えする経営管理基盤がいっそう求められている。CFOおよびファイナンス組織は自身の役割を進化させながら、特に経営管理領域における昨今のトレンド「税務管理」および「長期的価値と非財務情報管理」に応えていかなければならない。角田氏・上野氏はこれら2つのトレンドから「経営管理」のあるべき姿を詳述した。

 グローバル企業を「経営管理」の観点で見るといくつもの課題が浮かび上がってくる。

経営管理や税務管理において、統一的かつ整合した情報を管理するために必要なテクノロジーを角田氏が詳述する。
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