「これまで社内の財務・税務における情報管理は、財務会計ソフトなどで一定程度均一に対応できていました。しかし複雑な課題が顕在化し、今後は経営管理に対する税務管理の影響度が一層大きくなることが想定されるため、今まで以上に網羅的な情報集約や見える化が必須となります。経営管理や税務管理において、統一的かつ整合した情報を管理するためには、テクノロジーの力を借りなければいけません」(角田氏)
角田伸広氏
EYではこれらの課題解決を目指す企業の税務DXを支援している。ある企業では、税金引当計算業務のシステム化においてグローバルテンプレートを導入および業務プロセスを統一することで、リアルタイムでの連結実効税率のモニタリングを実現した。これにより業務のリードタイム短縮や人件費の削減、税務ガバナンスおよびデータガバナンスの向上を図ることができた。税務領域のDXによって、同様な効果を生み出した事例は多いと話す。
次に「長期的価値と非財務情報管理」の観点から見ていきたい。
機関投資家からの要求に加え、基準設定機関・規制当局・政府からの要請、さらには従業員、消費者、社会からのニーズなど、昨今の企業は従来の株主偏重型ではなく、すべてのステークホルダーに対して長期的価値(LTV=Long Time Value)を提供していかなければならない。今や長期的価値の創造はCEOにとっての至上命題であるが、それをどのように始めるべきか、具体的なコンセンサスが取れていないのが実状だ。「サステナブルなビジネスの実現には長期的志向、幅広い価値の視点、ステークホルダーの視点が必要です」と上野氏は話す。
上野 真氏
「特に長期的価値は、顧客価値・人材価値・社会的価値・財務的価値の4つのカテゴリーから生み出されます。言い換えれば、これら4つの向上が長期的価値、ひいては企業価値を創出することにつながります。EYでは戦略・実行・インパクト測定の3つのステップで長期的価値の向上を支援しており、具体的なKPIとともに進捗状況もレポートしています」(上野氏)
グローバル製造業の経営管理高度化PJに学ぶ、持続的な企業価値向上に向けた取り組み
続くセッション2「グローバル製造業の経営管理高度化PJに学ぶ、持続的な企業価値向上に向けた取り組み」では、Tagetik Japan代表取締役社長の箕輪久美子氏と、電通国際情報サービス(ISID)グループ経営ソリューション事業部経営管理コンサルティング部プロジェクトマネージャーの山本光二郎氏の両名が登壇。「CCH® Tagetik」について解説した。
CCH Tagetikは「グローバル企業の経営意思決定をすばやく推進するためのデータドリブンな経営管理プラットフォーム」である。グローバルで1600社超が導入。日本国内でもユーザーは増えており、大企業向け・グローバル企業向けのサービスとして高い顧客満足度を得ている。
箕輪氏は自社が提供するCCH Tagetikの強みを次のように説明する。