あえて受け入れる選択もアリ!
見落とされがちな異動のメリットとは?

 一方、「自分はこの分野でキャリアを磨いていきたい」と学生時代から勉強を重ね、ある程度実績を積んできたのにまったく別の仕事へ異動を告げられたようなケースでは、実際に異動するより前にすぐ転職するのもありでしょう。

 最近は異動を拒否して転職を決めると、会社側が異動辞令を撤回し社員の希望通りの配置になるケースもあります。

 ただし、特に20代の若手の場合、自分の希望に沿わなくても異動はしてみたほうがよいと私は考えています。

 異動とは外部の力によって、必ずしも自分の意思にはよらず従来とは違う職場、仕事に移されることといえますが、それにはメリットもあります。

 若手が自分の限られた知識と経験でキャリアを考えても、導き出される結論はどうしても幅が狭くなりますが、異動は自分の狭い視野や発想を超えた経験を積むチャンスでもあります。

 自分の視界には入っていなかった世界へ無理やり放り出され、新たな出会いや気付きを得ると、結果的に思いもよらなかった経験や能力、人的ネットワークが出来上がります。これがキャリアを飛躍させる土台となることは珍しくないのです。

 とはいえ、社内で“左遷”とされる部署に、自分から好き好んで行く人はいないでしょう。

 しかし「VUCA」の時代である現代は、これまで注目を集めていなかった部署・部門が、突然スポットライトを浴びることが起こります。

 アパレルで物流部門に左遷されたと思ったらロジスティクスの重要性が高まったり、海外子会社に飛ばされたと思ったら異国での経営者経験が買われて役員に抜擢(ばってき)されたり。

 最近、キャリア設計は自分でするものとの意識から異動に対する忌避感が強まっている印象がありますが、半強制的にでも自分の幅を広げるメリットがある点もよく考慮する必要があります。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)

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