大規模言語モデル(LLM)を搭載した対話型ジェネレーティブAIの「ChatGPT」が世界を席巻している。利用者はリリースからわずか2カ月で1億人を超え、さまざまな業種やサービスで利用が進んでいる。データサイエンティスト/経営コンサルタントとして活動する筆者は、技術的な進歩に目を見張る一方で、「自分のような職種も危ない」と危機感を禁じ得ない。その真意をお伝えしたい。(マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー 工藤卓哉)
専門職の存在すら脅かす
ジェネレーティブAIの驚異的進化
AIや機械学習の研究・開発を行う米国の非営利法人「OpenAI」が2022年12月に公開したLLM搭載のジェネレーティブAI「ChatGPT」が世界的な話題になっている。わずか2カ月でアクティブユーザー数が1億人を突破するなど、もはや社会現象と言っても過言ではない。
大規模言語モデル(LLM) が台風の目になりつつある中、筆者は国会議員らによる「AIの進化と実装に関するプロジェクトチーム」にエキスパートとして参加し、AIに関する論考執筆に寄与する機会を得た。また、OpenAIのサム・アルトマン(Sam Altman)CEOが来日した際に対談する機会を得た。
本稿では、これらの機会を通して思案した、LLMが社会に与える影響について語っていこう。