「アタリ・ハズレ」といえるほど
若手のキャリア観は成熟していない

 基本的に企業の人事は、きちんとその人の適性を見て、一方で社内の人材ニーズを考えて、おのおのの配属を決めています。中にはいいかげんな会社があるかもしれませんが、それは例外的でしょう。

 何しろ人材の採用、育成には会社の将来がかかっているのですから。

 一方で、就職したばかりの新人や若手社員の場合、自分のキャリアの方向性を一生懸命考えていたとしても、その段階ではまだ社会に出て間もない状況です。

 キャリアに対する考え方も、社会経験が浅いまま、狭い知識と経験に基づいてつくったものとの自覚が必要です。

 その状態で自分が考えていたキャリアプランとは違う配属をされたからといって、気持ちが萎えたりすぐに退職してしまったりすると、むしろ自分の目の前に広がっている可能性を狭めてしまう危険性があります。

 以前と比べて、最近は学校でキャリア教育を行う機会が増えてきてはいます。ですが、日本においてはさまざまな職業に関する知見を得た上で、若者が自分で進むべきキャリアを選択するプロセスはまだまだ未熟です。

 実際、自分の身の回りにいる先輩や父母、親戚、あるいはアルバイト先からの情報に留まっている人が多いといえます。

 大学生に「どんな仕事をしたいですか」と尋ねると、「人に喜ばれる仕事がしたい」と答える人が多いのは、学生がよく従事している、飲食店でのアルバイト経験などが影響しています。

 実際に接客して、お客様から「ありがとう」と言われるとうれしいものです。その経験自体は大切ですが、自分の限られた経験から職業のイメージを形成し、その延長線上で進路やキャリアを考えていることは自覚しておいたほうがよいと思います。

 もちろん、すべてを投げ打ってでもその仕事をしたいという強い意志があるのなら、それにこだわってもよいでしょう。一回きりの人生なのですから。

 しかしそういう人はそもそも、一般企業へ総合職で入社するコースにはあまり乗っていないと思います。

 どうしても飲食などの接客業がよければ、一般的な“就活”をする必要性はなく、思い入れのあるアルバイト先で社員になるという道もあります。

 一方で、別の観点で「どうしてもなりたい」という人が多い職業も、一般企業とは就職のルートが異なります。例を挙げれば、医師になりたい人は高校3年生のときに医学部を受験し、大学進学から6年間にわたり勉強をして国家試験に合格し、医師になっていくわけです。

 もしこれらの道ではなく、一般企業で総合職として働く道を選んだのであれば、時間をかけて身近な世界の“外”にいる人たちに触れないとキャリア観は成熟していきません。

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まずは仕事を通じて世の中を学ぶべき

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