それはドン・キホーテの店舗でしか見ることができない、独創的な売り場づくりです。安価な日用品から高価なブランド品まで多種多様な品ぞろえ、ジャングルのようなインテリア、圧縮陳列(狭小な売り場空間を商品で隙間なく満たす陳列手法)、遊び心にあふれたPOP(商品説明)…。顧客にショッピングを楽しんでもらうための仕掛けが、あらゆるところに見られます。
また大規模店舗であるにもかかわらず、深夜営業(一部は24時間営業)を行っているのも特徴的です。ドン・キホーテが深夜営業にこだわってきたのは、顧客にいつでも気軽に立ち寄ってもらいたいという思いからでしょう。
こうした独自の店舗運営の背景にあるのが、店舗への権限委譲です。数年前に東京の店舗の店長にインタビューした際、「経営理念『源流※』に基づいてさえいれば、どんな商品を売ってもいいことになっている」と言っていたのが印象的でした。
つまり、ドン・キホーテでは、商品の選定から小売価格まで、現場の担当者が決められるのです。これはドン・キホーテのような大手小売企業では極めて異例のことです。
独自のビジネスモデルだけでは
これからは成功を維持できない
佐藤 ドン・キホーテの事例をハーバードビジネススクールのどの講座で教えましたか。また学生からの反応はいかがでしたか。
ラモン・カザダスス=マサネル教授 ©︎Russ Campbell
カザダスス=マサネル 2022年の秋にMBAプログラムの講座の一つである「フィールドスタディ」の一環としてドン・キホーテの事例を教えましたが、学生からは想定以上の反響がありました。授業では議論がかなり盛り上がり、学生がドン・キホーテの事例に強い関心を寄せていることがうかがえました。
この授業を受けて、店舗を実際に見てみたいという気持ちが高まったからか、2023年1月に東京に滞在した際には、多くの学生が銀座の店舗を訪問していました。教室で議論した後に店舗を見学したことで、ドン・キホーテの独創的な店舗運営についてより深く理解してもらえたと思います。



