ハーバードビジネススクールのアーサー・ブルックス教授が語る「人生後半の成功と幸せ」。40代、50代のビジネスパーソンが人生後半を幸せに送るためにはどのような働き方をするのがベストなのか。「不幸な元会社役員」「不幸な元管理職」にならないためには、どうすればいいか?(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)
人生後半にこだわるべきは
報酬や肩書ではなく「仕事内容」
佐藤智恵 ブルックス教授は50代半ばでシンクタンクの所長から大学教授に転職されましたが、日本のビジネスパーソンの中にはこれから先、どのような働き方をするのがベストなのか、悩んでいる人も多いと思います。特に大企業の40代から50代の社員にとって重要な決断となるのが早期退職をするかどうかです。こうした人たちにどのような助言をしますか。
アーサー・ブルックス 私はどんな形であれ、働き続けることを推奨したいですね。日本人の皆さんは100歳まで生きる可能性も高いわけですから、リタイア生活が40年間というのは長すぎると思います。
今企業に勤めていて、その企業が好きで、そのまま働き続けたいと思うのであれば、勤務時間を減らし、仕事内容を変えることを勧めます。ここで大切なのが報酬や肩書よりも、仕事内容にこだわって次の仕事を選ぶことです。
人生には大きく分けて二つのフェーズがあります。まず一つ目のフェーズは、流動性知能(Fluid Intelligence=計算力・暗記力・思考力・集中力等)を生かすフェーズ。もう一つのフェーズが、結晶性知能(Crystallized Intelligence=時間をかけて獲得されていく言語能力、理解力、洞察力等)を生かすフェーズです。流動性知能は20代から30代をピークに劣化していきますが、それと入れ替わるような形で強化されていくのが結晶性知能です。つまり、私たちの得意分野やスキルは年代によって変わってくるのです。