(C)Evgenia Eliseev「幸福の追求」をテーマにハーバードビジネススクールで講演するアーサー・ブルックス教授 (C)Evgenia Eliseeva

ハーバードビジネススクールのアーサー・ブルックス教授が「人生後半の成功と幸せ」をテーマに書いた著書がアメリカで記録的なベストセラーとなっている。どれだけ人生の前半で成功しても、人生の後半で幸せになれるとは限らない。むしろ不幸になってしまう人もいる。では、どうすれば幸せな人生を送れるのか?(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)

なぜ人生は「後半」が不幸になってしまうのか

佐藤智恵 ブルックス教授の著書『From Strength to Strength: Finding Success, Happiness, and Deep Purpose in the Second Half of Life』(人生後半の成功、幸福、ディープパーパスの見つけ方)がアメリカで記録的なベストセラーになっています。この本が熱狂的に支持されている理由をどのように分析していますか。

アーサー・ブルックス 私たち人間は誰もが幸せになりたいと思っています。また、どうしたら幸せになれるのか、その秘訣(ひけつ)を知りたいとも思っています。ところが幸せになるのは簡単そうで、実は難しい。特に人生後半においてはそうです。

 本書は「どうしたら、人生後半を幸せに生きられるのか」という難題に対する私なりの答えを科学的な根拠とともに示したものです。

 ここで示した考え方は、多くのアメリカ人にとっては思いもよらなかったものだったかもしれません。というのもアメリカでは「真面目に一生懸命働いて、社会的な成功を収めさえすれば、自動的に幸せになれる」という考え方が広く浸透しているからです。ところが、私が示したのは「実際はそうではない」という現実です。人生の前半でどれだけ会社で出世しても、どれだけ仕事で成功しても、人生の後半で幸せになれるとは限りません。むしろ不幸になってしまう人もいます。