生徒主体で学外のコンペに挑む!
最適なチームづくりの仕組みとは

◆フェーズ4:チームビルディング

「探究学習×イノベーション」のカリキュラムはどのように作られていったのか【後編】「カタリスト(Catalyst)」とは、化学分野における「触媒」の意。システム、デザイン、プランニングの三位一体でのモノづくりにおいて、これらの間をつなぐ役割を担う。コンペ参加がチーム全員による共同作業であることから、マネジャーやリーダーとは異なる役職名を採用した 画像提供:芝浦工業大学附属中学高等学校
拡大画像表示

 フェーズ4は、1年次の3学期から始まる。まず、企業や大学、その他の団体が主催するコンペティションにエントリーするためのチームビルディングを行うが、コンペの選択は生徒たちの自主性に委ねられている。

 教員は、企業や大学などの団体が主催するコンペの特徴を視覚的に比較できる資料として「コンペ図解分析」を提供する。ここには、コンペの概要のほか、規模・賞金・必要時間・必要経費・提出物・人員目安などの項目を点数化したレーダーチャートなどのデータが掲載されていて(上の図)、生徒は、これらのデータと過去の参加者や受賞者などの履歴を総合的に検討し、プレゼンに適した内容や求められるスキルを予測する。

 また、チームを構成する際には、フェーズ3の「自己深化レポート」に評価コメントを多く入力した生徒たちの中から教員が推薦する形で、「カタリスト」を選出。彼らが参加したいコンペを選び、“募集要項”を公開してメンバーを募る。そこに、カタリスト以外の生徒たち(“専門家”と呼ぶ)が、応募理由や自分のスキルを示してエントリーする仕組みを採用した。

 ただし、「自己深化レポート」を作成したとはいえ、全ての生徒が自分の得意なことやチームに貢献できるスキルを具体的に表現できるわけではない。この段階では、自分の個性を知り、貢献できる役割の方向性を示せることが求められる。「特技は買い出しのプロ」と書いた生徒も、その後のチーム活動ではしっかりと貢献しているのだ。