「弱気な学年」効果もあってか、大人気の佼成学園(東京・ 杉並区)

※志願者数は、2024年1月30日まで判明のデータによる

2024年入試「弱気な学年」が向かう先はどこか

 前回、2月1日から始まる東京と神奈川の中学入試で、難関校の志願者数が軒並み減少、付属校はブームが去り沈静化、上位校も人気が二分されている状況を見た。2024年受験生が「弱気の学年」であることがその背景にあるのだが、首都圏の中学受験生総数は23年割れの当初予想が覆され、同程度から微増に転じるかもしれない。

 こうした状況の恩恵を受けるのは中堅・中位校である。現状の出願状況を軸に、ボリュームゾーンの学校の中で、どこが人気化しているのか。入試前日はもとより、当日朝、学校によっては願書を持参して受験可能という入試まであるので、最後まで本当の競合状況は判明しないものの、直前の傾向だけでもつかんで、入試に備えていただきたい。
 
 まずは、男子校から見ていこう。難関校は軒並みと言っていいほど志願者数を減らしたが、「弱気な男子」にもちょうどいい難度なのが佼成学園である。1日入試は1月31日に出願が締め切られるが、1日適性検査型特別奨学生以外はすべて23年実績を超えているところがすごい。とりわけ1日1回一般・グローバルは22年184人よりも2倍増、23年比で6割以上伸ばして絶好調だ。

 中堅校で前年並みの男子校は多い。学習院女子は絶好調だったが、学習院は23年に大きく緩和し、24年も盛り返すまでには至っていない。暁星は前年並みを確保しそうな状況だ。獨協は実倍率3倍超えの入試回がほとんどで、23年は大きく減らしたものの、23年648人(実倍率2.6倍)だった1日午後2回が30日現在で755人と急増している。成城も22年から23年に大きく減らしたが、24年は1日1回がすでに前年実績を超えた。23年1056人と人気の3日2回が大台を維持できるかも注目される。

 男子中位校で一番元気がいいのは足立学園だろう。部活推しの広告が勉強路線に切り替わってきたが、志願者は22年から上昇基調で、24年も1日1回が前年比18%増の230人まで伸びている。他の入試回もおおむね順調である。125周年を迎えて新体育館も完成、系列の京華女子などと一緒に3校で一つのキャンパスを共にしている京華は、23年に大きく伸ばした。24年は1日1回がどこまで前年に迫るか。聖学院も22年から23年に向け伸ばしたが、すでに23年を超えたのは1日1回一般と1日英語特別で、その他の入試回がどこまで前年に迫るかが注目される。

 神奈川では、藤嶺学園藤沢の出足が鈍く、23年実績に届くかは微妙な情勢だ。武相横浜はいつも通りという感じである。このように中堅・中位の男子校は数少ないので、多くの男子受験生は必然的に共学校を受けることになる。中でも、元女子中位校が共学化したリニューアル校はハードルも低めで、「弱気な学年」にも人気が高い。