5G通信とテクノロジーで放送の現場をサポート

「放送」のテーマでは、KDDIが長年培ってきた5Gなどのネットワーク技術が同業界の課題解決に遺憾なく発揮されている。特に近年、ユースケースごとに最適化されたネットワークを構築することで通信品質を確保する「ネットワークスライシング」技術の活用が進んでいる。KDDIは、24年2月からソニーと共にメディア業界のDX推進に取り組んでおり、同技術とソニーの映像伝送用通信デバイスを活用することで、カメラが撮影した映像をワイヤレスの環境下でも安定して中継することが可能になる。

「重いケーブルや機材を運んで設置するのは重労働で、制作現場には多大なコストと労力がかかっていました。ネットワークスライシングによって、ワイヤレス環境下でも安定した通信品質が確保できており、スポーツ中継の現場などで活用いただいています」と語ったのは、KDDI次世代ビジネス開発部長の中島康人氏である。

物流、小売・流通、放送、BPOの各テーマで取り組む、次世代技術を活用した変革の中身とはKDDI
ビジネス事業本部プロダクト本部
次世代ビジネス開発部長
中島康人

現場の重労働は、制作スタッフの人員確保にも大きく影響しており、働き方の是正につながるとの期待も大きいそうだ。これは業界全体に共通する課題であり、「協調」領域における課題解決の一例といえるだろう。

一方で、KDDIグループは、放送業界の「競争」領域における課題解決への貢献も目指している。同グループが保有するauのスマートフォンユーザーの興味関心データと、各放送局が持つ視聴データを組み合わせて、視聴者に好まれそうなコンテンツのレコメンドや、ターゲティング広告の配信を最適化するサービスの開発も検討している。

中島氏は、「『WAKONX』の二つの使命である『協調』『競争』の両面で、放送業界の課題解決に貢献していきたい」と語った。