メンテナンス分野の
最先端技術で社会に貢献
専門性にはメンテナンスも含まれる。「土木や建築のメンテナンスを手掛けている会社はそれほど多くないのです。一般のゼネコンは新しいものを造ることを専門としていますが、当社のような鉄道系ゼネコンは鉄道の歴史150年超の中で、メンテナンスの重要性と技術を学んできました」と明かす前川社長。
例えば、20年経過した施設があるとする。一般のゼネコンが“建て替え”を提案するのに対し、同社は“補修”をして寿命を15年延ばし、35年目で建て替えましょうと提案する、と前川社長は語る。
「メンテナンスに力を入れているのは、お客さまの費用の削減に加え、貴重な社会資源の節減にもつながるからです」
20年先も安心して
働ける事業環境
安定性は、顧客の約8割(JR東日本7割、公・民鉄1割)が鉄道関連という点にある。
「鉄道会社は非常に安定した顧客です。メンテナンス時期も5年先、10年先まで決まっている。駅の開発や大規模改良などは、20年スパンで計画しています。当社は鉄道会社の計画を先取りして技術開発を進めているので、20年先までの受注が見通せるわけです」
そう話す前川社長は、「協力会社との良好な関係」も安定性を支えていると強調する。協力会社に対しては、中長期的に仕事が安定して継続していくことを伝えるとともに、「単価改定など賃金水準の向上に向けて取り組んでいます。コロナ禍で工事が減ったときは、協力会社を優先して支援しました」。ここまで協力会社を大切にし、共存共栄を実践するゼネコンも珍しい。前川社長は「うちは“正直ゼネコン”ですから」と笑うが、社内・社外を含めた人材を大切にするDNAが自然にそうさせるのだろう。
高度なメンテナンス技術で
無限の可能性にチャレンジ
「当社がJR東日本の事業で培ってきた経験・技術・信頼は、今後のメンテナンス需要の高まりが見込まれる公・民鉄各社からも期待されています」(前川社長)。調査から設計提案・施工まで一貫したメンテナンス体制をさらに強化し、鉄道分野と同様に顧客の信頼を獲得することで、「無限の可能性」にチャレンジしていくと、前川社長は未来を見据えた発展性を語る。
同社の未来の姿。それは「創業100周年」(43年)にあるべき姿を示した長期ビジョン「TOTETSU VISION 100」 に示されている。この長期ビジョンを実現するため、24年度から5年間で実施する具体的な重点施策である中期経営計画「アクションプラン2029」(24~28年度)を策定。未来に向けて着実に歩み始めている。
難度の高いプロジェクトに
挑戦し続ける
現在、同社が取り組んでいる未来へ向けてのプロジェクトを挙げてみよう。
まず、「羽田空港アクセス線」の建設。都市の発展と国際競争力強化につながる鉄道ネットワークプロジェクトとして同社も積極的に参画している。「新幹線レール交換」には、同社が導入した世界初の新幹線レール交換システム(REXS)が活躍する。
続いて、「新幹線大規模改修プロジェクト」という1兆円規模の巨大プロジェクトが31年から10年間で計画されている。他にもJR東日本は首都圏約330駅への「ホームドア拡充整備」を進めている。この工事では東鉄工業が開発した軌陸式(線路と道路の両方を走行できる)門型クレーンや、点字シートの貼り付けの手間を不要としながら視覚障がい者の安全を守る警告ブロック付きホーム工事用仮設覆工板などが活躍している。この他にも、ホーム上の柱の耐震補強に、火災リスクがある溶接を不要とした無溶接化工法(スマートウィクシス工法)といった新技術が鉄道の安全を支えている。
「これらのような新技術を開発できるのは、当社に人材・技術・資金が豊富にあるからです。JR東日本と共同投資をして新しい機械を開発する環境も整っています」と前川社長。
業界トップクラスの
人事・福利厚生制度
このような社会貢献性の高い会社をさらに発展させていくためには、優秀な人材に能力を存分に発揮してもらう環境づくりが重要だ。同社は、社員の多様性と個性を尊重する「働きがいのある職場づくり」にも積極的に取り組み、人事制度の改善など毎年多くの施策を実行している。
(右)「健康経営優良法人」は、優良な健康経営を実践している企業の認定制度
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次世代育成を踏まえて、若手世代の意見に耳を傾け、配偶者出産休暇などの育児休業制度を拡充させた。さらに子育て支援や保育料補助金など手当の充実にも取り組み、社員が育児と仕事を無理なく両立できる制度の充実に取り組んでいる。最近では、男性社員の育休取得者も増加。制度の改善が実を結びつつある。
働き方改革への取り組みでは、4週8休を達成。フレックス勤務やテレワーク、時間単位の年次有給休暇など柔軟な働き方を実現した。連続5日休暇取得の推進や入社時に年次有給休暇を20日付与するなど、「休みが取りやすい会社」に取り組んでいる。
手厚い家賃補助や年48回分の帰省旅費の全額支給など充実した福利厚生も魅力の一つ。社員が生き生きと働けるよう健康経営にも取り組み認証を取得、業界トップクラスの人事・福利厚生制度を整備した。