FRBのクリストファー・ウォラー理事は欧州で今月開かれた会議の質疑応答で、「一度に全部やって二度とやらないのであれば、物価水準は一時的に跳ね上がるだけだ。インフレ率は急上昇した後に収束に向かうだろう」と発言した。
ただ、関税引き上げが異なる時期に異なる国やさまざまなモノに適用された場合、物価上昇は関税によるものか、あるいはもっと広範なマクロ経済的要因によるものかをFRBが見極めることは困難になるかもしれない。
米セントルイス地区連銀のアルベルト・ムサレム総裁は今月のインタビューで、「『1度きり』なのか、それとも経済の多くの異なるセクターで2年の間に連続的に実施されるものになるのだろうか」と問いかけ、「2年にわたって毎月あるいは2カ月ごとに段階的に行われるのであれば、その影響を見極めるのはより難しくなる」と語った。
FRB当局者は、安定的なインフレ期待が崩れることを非常に恐れている。それは当局者が12月に公表した見通しからも推測できる。
前回のFOMC会合で当局者らは、経済活動が安定し、失業者や遊休設備といった労働市場における需給の緩みがほとんどない状況にもかかわらず、基調的なインフレ率は昨年末の約2.8%から今後2年間で2%まで低下し続けるとの見通しを示した。
FRBのモデルに基づくと、低水準で長期安定したインフレ期待は「人々が賃金や物価を判断する際にインフレ率に重力のような効果をもたらし、実際のインフレ率を2%へと接近させる」。元FRB上級顧問で、現在は米イエール大学経営大学院で教授を務めるウィリアム・イングリッシュ氏はそう語る。
FRBにとってのリスクは「実際にはうまくいかない」ことだと同氏は話す。インフレ率が2%ではなく3%に近い水準にとどまる場合、FRB当局者らは物価を低下させ景気をさらに軟化させるために、金利を高水準に維持する必要があると結論付ける可能性が高いという。
(The Wall Street Journal/Nick Timiraos)
※この記事はWSJにて2025年1月29日 09:05 JSTに配信されたものです。



