大都市圏の県庁では内定辞退が深刻
合格者は市役所や民間企業へ
人手不足に悩む地方自治体は、待遇改善をはじめ、あの手この手で人材確保を図っている。
だが、その成果を比較すると、明暗が分かれているようだ。都道府県の内定辞退率を見ると、前年より大きく改善している県もあれば、悪化している県もある(下表参照)。
47都道府県のうち、内定辞退率が4割を超えるところは5都県に上る。前年の7都道県よりは減少しているが、辞退率3割超の都道府県の数は前年の12から17に増加しており、都道府県庁職員の魅力向上は道半ばと言わざるを得ない。
内定辞退率の高さが際立っているのが、大都市圏の県庁だ。就職先の選択肢が多い都市部では、都道府県庁が就活学生たちの“滑り止め”になっているようだ。東京都で合格者の半分以上が辞退している他、三大都市圏周辺の府県で辞退率が高くなっている。
千葉県庁の中堅職員は、こう語って危機感をあらわにする。
「給料の高いところに就職したい人は都心の大手企業に行ってしまう。公務員志望でも優秀な学生は国家公務員になるし、転勤を嫌う人は待遇面で県庁とあまり差がない市役所に行ってしまう。『何が何でも千葉県庁に入りたい』というモチベーションの高い受験者はほとんどいないのではないか。このままでは人材難が一向に改善されない」
千葉県の内定辞退率は45.6%で、全国ワースト3位だ。首都圏の県庁では、大手企業や市役所、国家公務員に引けを取らないレベルにまで待遇や働きやすさを引き上げることが喫緊の課題といえよう。
北海道は内定辞退率低下でも38%!
“パワハラ騒動”の兵庫県は受験者が激減
今回のランキングでは、広範囲の転勤があり受験者に敬遠されがちな県も上位に入っている。
だが、転勤の範囲が広いはずの北海道や兵庫県では前年から内定辞退率が改善している。
北海道では、2017年度の採用試験では春採用の内定者の6割超が辞退したというが、4割を下回るまでに改善している。とはいえ、広大な北海道では転勤先が広範囲に及ぶため、引っ越しを伴う転勤を望まない受験者にとっては、地元の市役所の方が、志望度が高くなってしまう。優秀な人材を確保するためには、多様な働き方ができる環境をさらに整えていくことが求められよう。
兵庫県も転勤が広範囲に及ぶが、内定辞退率が前年から大きく改善している。合格者の中で、兵庫県への就職志望度が高い人の割合がアップしたことになる。
ただし、内定辞退率の算出には直接寄与しないが、兵庫県では気になるデータがある。22年度に5559人いた受験者が、23年度には3906人と3割近く減少しているのだ。
受験者の減少要因として考えられるものの一つが、職場環境の悪化だ。兵庫県では、県職員へのパワハラを巡る報道が続く齊藤元彦知事が、21年8月に就任している。それ以降、口コミやSNSなどを通じて兵庫県庁のイメージが徐々に悪化していたとすれば、受験者の減少に直結したとしても不思議ではない。
ダイヤモンド編集部は、内定辞退率の改善理由や受験者数の減少要因について兵庫県に問い合わせたが、期日までに回答はなかった。
各県の個別事情はあるにせよ、どの都道府県にとっても人材確保が重要課題であることに変わりはない。待遇や職場環境の改善をより一層進め、受験者にとっての“滑り止め”の地位から一刻も早く脱却することが必要だ。
Key Visual:SHIKI DESIGN OFFICE, Kanako Onda, Graphic:Daddy’s Home




